抄録
丹沢山地は南部フォッサマグナ地域および伊豆―小笠原弧最北端部に位置し、島弧地殻の形成を解明するのに重要な地域である。丹沢のトーナル岩のモードは石英が49%前後であり、斜長石が51%前後で、カリ長石は0%であった。
川手(1997)や高橋(2004)は全岩化学分析を行っており、今回は対比も行った。
今回の調査に於いて、深成岩体の北部に於いて露頭単位で面構造を確認することができた。走向はN40∼70°Wを示す。傾斜は緩やかなところで、30°SW前後を示し、急なところで60°SW前後を示した。また、鏡下に於いても、斜長石や角閃石、石英などが段重ね上に浮き出て見えるようなものもあり、構造を有していることが確認された。さらに犬越路隧道の北側で石英斑岩と思われる岩脈も確認した。今回はこれらの結果について紹介する。