抄録
福岡県志賀島花崗閃緑岩体中に発達する塩基性岩脈には特徴的な縞状構造が発達する。この縞状構造はcomb layerとschlieren layerの繰り返しから構成され,全体的にはcomb layerが優勢である。岩脈の周縁部から中心部に向かって8枚のlayerが識別され,モード,鉱物および全岩化学組成を検討した。いずれのlayerも鉱物組成は同じで,主としてホルンブレンドと斜長石からなる。鉱物の化学組成もlayerを通じてほぼ一定である。全岩化学組成の検討から,優白質のcomb layerは優黒質のschliren layerに比べAl2O3とCaOに富みMgO,Fe2O3,MnOに乏しい。その成因を検討した。