抄録
甲斐駒ケ岳花崗岩体は甲府盆地の西に位置し、主岩層の鳳凰型花崗岩と周縁層の甲斐駒型花崗岩からなる。岩体の南部では焼地蔵花崗岩と接していて、これらの岩体は四万十帯に接触変成作用を及ぼしている(Yuasa1976)。佐藤他(1989)によると岩体が貫入したのは15Ma頃であるとした。
調査は岩体の南部においては、夜叉神峠からの登山道上(2250から2400m)で焼地蔵花崗岩を確認した。またここでは、焼地蔵花崗岩に捕獲されている輝緑岩質岩を確認した。ドンドコ沢登山道では、標高1500m付近から鳳凰型花崗岩が確認し、ここから、南精進滝と途中の登山道中の露頭よりサンプルを採取し化学分析を試みた。岩体の北部尾白川渓谷では、甲斐駒ケ岳神社付近では流理が確認できるのに対し渓谷上流部不動滝では流理はほとんど見られない。甲斐駒型花崗岩は駒津峰付近の四万十帯との境界部分からのものを化学分析を試みてみた。