抄録
本研究は、火山岩中の褐レン石をEPMAによって正確な化学分析を行い、その地球化学的意義を解明することを目的として行われた。研究試料は、新潟県SK100火山灰層、カリフォルニア州Bishop凝灰岩、インドネシアToba溶結凝灰岩中の褐レン石とした。定量分析の結果、3地域の褐レン石は、自形のジルコンとアパタイトを包有物として取り込んでいていることが明らかとなった。また、本研究の火山岩と花崗岩中(Hoshino et al. 2005)の褐レン石のTiとMgをプロットした結果、火山岩中の褐レン石は、マグネタイト系列花崗岩中のものと同様の化学組成上の特徴を示す。これは、TiとMgが珪長質マグマを導く結晶分別作用の初期に鉱物中に取り込まれることから、火山岩中とマグネタイト系列花崗岩中の褐レン石は、より初生的なマグマから晶出したことを示唆する。