抄録
カムチャツカ半島南東部に位置するアバチャ火山には,多量のかんらん岩捕獲岩がカルクアルカリ系列の玄武岩質安山岩の火砕流堆積物中に包有されていることが知られている (Arai et al., 2003) 。同火山からは,かんらん石と単斜輝石の結晶を多量に含む“アバチャイト”と呼ばれるアンカラマイト的な玄武岩もまた存在するという報告がなされていた (Kutiev, 1980; Porthyagin et al., 2000)。アバチャイトは,かんらん石と単斜輝石の結晶を多量に含み(最大50 vol.%),その割合は様々である (1:3∼1:1)。
アバチャイト中にはマントルかんらん岩の捕獲結晶が存在していたり,ハルツバーガイトとメルトが反応してアバチャイト的な岩石が形成していることから,アバチャイトは,マントルかんらん岩とそれと平衡にない玄武岩質メルトとの反応生成物であると言うことが出来る。