移民研究年報
Online ISSN : 2758-9552
Print ISSN : 2189-7700
占領期(1945~52年)におけるブラジル日本人移民二世の帰国支援運動
高知県における「ブラジル二世クラブ」の結成と展開
村中 大樹
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 26 巻 p. 91-101

詳細
抄録

本稿は、「日本人」の日伯間の移動が困難であった占領期(1945〜52年)に、日本側で行われた渡伯実現のための組織的活動を、高知県のブラジル移民経験者の森田友和から得た一次史料と聞き取りをもとに明らかにしたものである。この時期、高知県から渡伯した人物にはブラジル移民送出事業者の水野龍が挙げられるが、それを支援したのがブラジル二世クラブであった。ブラジル二世クラブは、戦時中日本に滞在を余儀なくされた「二世たち」をブラジルに帰すため、森田ら戦前に帰国した青年たちが結成したグループであったが、後にその活動は、水野の「帰還」や南国高知産業大博覧会への出品などを契機に、より公益な目的を掲げる「財団法人高知ブラジル協会」設立の動きへと発展する。財団法人高知ブラジル協会は、「趣意書」や「寄付行為」を整えた団体であり、団体に関する史料からは、ブラジル二世クラブが、当時の高知県知事や高知県経済界の中心人物たちとの連携を模索していたことが確認された。

著者関連情報
© 2020 日本移民学会
前の記事
feedback
Top