JAMSTEC Report of Research and Development
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原著論文
熱水噴出域のメイオファウナの定量的研究におけるサンプラーバイアスについて:
内径の異なる2種類のハンドコアラーによる堆積物の比較
北橋 倫嶋永 元裕井上 広滋渡部 裕美
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2010 年 10 巻 p. 33-39

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抄録

八丈島の南南西沖約150kmに位置する明神海丘におけるROVハイパードルフィンのDive#820~822において, 内径の異なる2種類のハンドコアラー (MBARI式コアラー[MC] ; 内径7cm, 北里式コアラー[KC] ; 内径8cm) により採集された堆積物を用いて, メイオファウナの採集効率と鉛直分布について調査した. 採集効率はコアラーの種類によらず, 堆積物直上の表層海水が抜けると低くなることが示唆された. また, KCで採集された堆積物ではメイオファウナが堆積物の表層に集中する一般的な鉛直分布パターンと一致したが, MCにより採集された堆積物中ではメイオファウナは表層から深層まで一様に分布し, さらに, 高次分類群の群集構造もKCと異なった. これら2種類のコアラーの差異の原因は, コアラーの内径や堆積物サンプルの周縁部や表面に与える撹乱の大きさの違いによると考えられた. 熱水噴出域におけるメイオファウナの研究のためには, ROVなどを用いた堆積物コアの採集が不可欠であるが, 本研究の結果は, 異なる種類のコアラーで採集されたサンプルの比較には, 注意が必要であることを示唆している.

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© 2010 独立行政法人海洋研究開発機構
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