JAMSTEC Report of Research and Development
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原著論文
DONETで測定できる最大加速度に関する検討
大堀 道広中村 武史有吉 慶介神谷 眞一郎松本 浩幸荒木 英一郎佐久間 淳川口 勝義坪井 誠司金田 義行
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2011 年 11 巻 p. 17-31

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抄録

本報告では, 東南海地震の震源近傍に設置されるDONETのシステム構築の一環として最大加速度の距離減衰式に基づく検討手法を用いて, 強震計の振幅レンジ±4g (3920cm/s2) についての評価を行っている. まず, 2001年以降に海域で発生したM7程度以上の主な被害地震14地震 (前震・余震も含む) に, 震源近傍で4g (3成分合成値) を記録した2008年岩手・宮城内陸地震 (Mw6.9) を加えた計15地震の最大加速度に関して, 既往の距離減衰式を用いて分析し, 距離減衰の補正を行うことで震源近傍での最大加速度のレベルの分布特性を評価した. 続いて, 上記の検討で3gを超える結果が得られた5地震を選び, それぞれの地震における観測値/計算値の分布特性を求めた上で, 1944年東南海地震 (Mw8.1) によるDONETの観測点で予測される最大加速度の分布特性を算出し,強震計の振幅レンジとして4gを含む閾値 (1g, 2g, 3g, 4g) に対する数種類の超過確率を評価した. 検討の結果, 4gに対する超過確率は他の閾値に対する結果よりも格段に小さいことを確認した. 震源近傍において地震発生時に強震動を振り切れることなく記録することは非常に難しいものの, 振幅レンジを4gとすることで, その可能性を高めることができたと結論付けられる.

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© 2011 独立行政法人海洋研究開発機構
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