抄録
屈折法・広角反射法構造探査データを用いた重合前深度マイグレーション(PSDM)は,深部地殻構造の詳細をイメージングできる可能性を秘めている.しかし,一般的な屈折法・広角反射法探査では観測点や受信点が疎ら過ぎて,PSDMが適用できないのが実情である.この状況を一変させ得るのが地震波干渉法により稠密な観測点(受信点)を合成する方法の導入である.本研究では,北西太平洋における海洋プレート上で実施した海底地震計(OBS)-エアガン構造探査データに地震波干渉法を適用することで,稠密な屈折法・広角反射法データを合成し,その合成データを用いてPSDMによる構造イメージングを試みた.数多くのパラメータテストを実施した結果,浅部の堆積層基盤や深部のモホ面のイメージングに成功した.本研究による検討結果は,沈み込み帯などより構造が複雑な場所における構造解析にも活用できる知見となる.