2015 年 20 巻 p. 61-71
人為的要因による大気中CO2の増加は地球温暖化の主原因と考えられており,早急なCO2隔離・削減技術の開発が求められている.本研究では,ゲスト分子置換法を利用した,海底に産するメタンハイドレートへのCO2封入及びメタン回収が可能かどうかを検討する予備実験として,新潟県上越沖上越海丘において,CO2排出試験及び表層型塊状メタンハイドレートの分解実験を行った.深海底でCO2圧入を行う為,等圧シリンダーポンプ及びヒーターを内蔵したCO2注入用プローブ(ヒートゾンデ)を開発した.メタンハイドレート胚胎堆積物へのCO2注入に先立ち,深海底でのCO2排出を試みたところ,液体CO2がヒートゾンデ先端から排出される様子が観察された後ポンプが動かなくなり,注入作業を行うことが出来なかった.これは装置内に海水が流入して形成されたCO2ハイドレートが流路を塞いだのが原因と考えられ,CO2ハイドレートの形成を防止する改良を装置に施す必要があることが解った.また,ヒートゾンデの熱により海底面に露出したメタンハイドレートが崩壊する様子が観察された.