抄録
四重極型質量分析計を装備した超高真空試料真空破砕装置を実験室外に移動して分析を行うことで, 希ガスおよび共存する炭酸ガス, 水, 窒素のガス分析を機動的に行う可能性を検証した. 移動に際し装置超高真空部の封止に注意を払うことで, 移動後も実験室内での運用と同程度の10-5 Pa台の圧力が維持された. 火山ガスを大量に含む玄武岩質ガラス6K834R4の分析において, ベースラインからの見かけ変動値は最少で, 装置内の分圧として7×10-7 Paであった. 今回の結果により, 移送および組み立てにおいて十分な配慮があれば, 所要の電力が供給された観測船や車両において, 流体中の微量ガスのその場分析が可能であるという見通しが得られた.