2014 年 63 巻 5 号 p. 615-622
われわれは,先行研究において患者データによる正常者平均値法で呼吸機能検査の客観的な内部精度管理法を提案し,一定の成果を得た.今回,内部精度管理手法としての妥当性を検証するために,日常精度管理データを用いた「測定の不確かさの推定」を含めた正常者平均値法の3年間比較を行った.また,「呼吸機能検査ガイドライン」で週に1回,既知非喫煙健常者で再現性の確認が推奨されているが,先行研究と同様に,正常者平均値法を2012年の数ヶ月を週別に抽出して応用できるかも併せて検討した.「測定の不確かさの推定」は,機種間差や機器劣化などの管理に有効と考える.正常者平均値法では,月別の全患者・正常者群もともに安定したが,週別ではバラツキが認められた.しかし,一定のn数があれば,安定すると考える.したがって,内部精度管理として機器の管理を含めた管理手法である本法は十分有効である.