医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
総説
免疫組織化学の現状
柳田 絵美衣
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 64 巻 2 号 p. 133-142

詳細
抄録

現在,免疫組織化学(以下,免疫染色)は病理診断の補助的手段として重要な役割を果たしている。昨今の癌治療において,低侵襲・低負荷手術を行う傾向にあり,細胞診検体での判定や診断の依頼件数が増加している。そのため,細胞診検体における免疫染色が注目され,期待されている。日常的な病理検査では酵素抗体法を用いた染色法が主流であり,近年では自動染色装置や新しい染色方法の開発・進歩が目覚ましく,多くの施設で免疫染色が行われている。その一方で,用手法による染色を経験したことのない技師も年々増加しており,免疫染色の原理や方法を理解していない場合も多い。そのため,染色性の良し悪しを自らで判断出来ず,不良染色標本を病理医に提出してしまう可能性がある。自施設の染色標本のレベルと他施設の染色性を知るためにも,染色サーベイを行うことが非常に重要となってきている。多くの都道府県で,染色サーベイが実施され,染色性の精度管理に対する意識も変わりつつある。不良染色標本が誤診断に誘導する可能性があることや,より精度の高い染色標本を作製することが患者・社会に貢献出来ることだという意識を持ち,病理診断を行う病理医と連携しながら,日常業務に取り組みたい。本稿では,日常で行われている免疫染色の現状と新たな手法,さらに精度管理について述べる。

著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
次の記事
feedback
Top