医学検査
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技術論文
イムノクロマト法を原理とする種々のアデノウイルス迅速抗原検出キットの,ウイルス検出感度の比較
大宮 卓佐々木 純一西村 秀一
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2015 年 64 巻 3 号 p. 319-323

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抄録
アデノウイルス感染症の診断補助を目的に日常的に検査室で使われている6社のイムノクロマトグラフィーを原理とした迅速抗原検出キット(クイックナビ,クイックチェイサー,イムノカード,ベリター,プライムチェック,イムノエース)について,アデノウイルス1型から7型までの7株に11型の1株を加えた8株の標準株ウイルス保存液を用いて検出感度を比較した。反応が陽性になるウイルス液の最大希釈度をもとに各キットについてイムノクロマトへの反応の感度を求めたところ,ウイルス株間ならびに各キット間で異なり,最も著しいものでは50倍程度の差がみられた。特にアデノウイルス6型と11型に対しては,すべてのキットで反応性が低い傾向が認められた。次にウイルス保存液のウイルス遺伝子DNAコピー数ならびに培養細胞に対する感染価を測定し,それらとイムノクロマトの反応性をもとにそれぞれのキットの最小検出感度を計算した。その結果,ウイルス株間で,感染価の方に遺伝子コピー数の違い以上の大きな差が認められ,特に3,7,11型のウイルス株では感染価が他の型のものと比較して最大で107も低く,キットのウイルス検出感度の表記においては,これらの型では感染価での表記を用いた場合には,他の型と比べ相対的に一見高感度となり注意が必要となることから,遺伝子量をもとにした感度比較がより望ましいということが示唆された。
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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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