医学検査
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症例報告
乳腺アポクリン癌の2症例
森下 真由美宮木 康夫岡本 大輔湯月 洋介芳林 浩史小野 一雄
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2015 年 64 巻 6 号 p. 692-697

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抄録
アポクリン癌の2症例を経験したので,その乳腺エコー画像の特徴について報告する。症例1は60歳代,女性。アポクリン腺症と診断後,6年間の長い経過で乳腺腫瘤の大きさに著変ないものの,乳腺エコーで前方境界線の断裂,微細点状高エコースポットおよび血流シグナルを認めることより乳頭腺管癌を疑い,再度の組織診にてアポクリン癌と診断された症例であった。症例2は60歳代,女性。MRIで病変の指摘あるも乳腺エコーで明らかでなく,およそ3年の経過にて乳腺エコーで不整な低エコー腫瘤を認め,硬癌を疑い,組織診にて非浸潤性アポクリン癌と診断された症例であった。アポクリン癌の乳腺エコー画像の特徴として,2症例とも不整な低エコー腫瘤として指摘された。いずれも良性病変として経過観察されていたが,長い経過にて乳腺エコーで悪性の可能性がある所見が認められた。腫瘤の大きさの変化に関わらず,性状を注意深く観察することは重要であり,長期間でのその性状変化をとらえるのに乳腺エコーは有用であった。
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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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