抄録
指状嵌入樹状細胞肉腫(interdigitating dendritic cell sarcoma; IDCS)は,樹状細胞の一種である指状嵌入樹状細胞を由来とする非常に稀な疾患である。今回我々は,皮膚に発生したIDCSが骨髄に浸潤したと思われる症例を経験した。皮膚生検の組織像では,核小体が明瞭な類円形腫大核を有する大型の異型リンパ球様細胞が広く浸潤しており,免疫組織化学染色にてS100陽性,CD68陽性,CD1a陰性,CD21陰性,CD23陰性であったことからIDCSと診断された。骨髄生検では明らかな異型細胞浸潤は確認できなかったものの,骨髄像検査で異型細胞がわずかながら観察され,腫瘍細胞が骨髄に浸潤している可能性が示唆された。皮膚病変が比較的広範囲で,骨髄浸潤が疑われたことから,化学療法の適応と考えられABVD療法が行われた。