医学検査
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原著
冠動脈疾患患者における大腿動脈内膜中膜複合体肥厚度とankle brachial indexとの関連
鈴木 更織谷 涼子加藤 恵子尾崎 真澄美田中 直宏
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2015 年 64 巻 6 号 p. 675-679

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抄録

粥状動脈硬化を基盤とする冠動脈疾患患者では,下肢の閉塞性動脈硬化症を合併すると予後不良となることが明らかにされている。総頚動脈(CCA)および大腿動脈(FA)の内膜中膜複合体肥厚度(IMT)と下肢動脈閉塞の指標であるankle-brachial index(ABI)との関連は不明である。我々は,冠動脈疾患の既往があり二次予防目的で当院循環器外来に通院している患者213名を対象とし,CCAおよびFAの平均IMT(mIMT)とABIとの関連を調べた。CCA mIMT,FA mIMT,ABIの中央値は,それぞれ0.77 mm,1.71 mm,1.05であった。CCA mIMTが0.77 mm以上の群と0.77 mm未満の群では,ABI値とABI < 0.9の頻度について両群間で有意差を認めなかった。一方,FA mIMT 1.71 mm以上群では1.71 mm未満の群に比較してABI値は有意に低値であり(1.01 vs. 1.08, p < 0.001),ABI < 0.9の頻度が有意に高率であった(25.7% vs. 2.9%, p < 0.001)。ABI < 0.9に対するCCA mIMTとFA mIMTのROC曲線を算出したところ,AUCはCCA mIMTで0.555(0.442–0.668),FA mIMTで0.772(0.682–0.852)であった。冠動脈疾患の二次予防患者では,CCA mIMTではなく,FA mIMTが下肢のABIの低下と関連していることが示唆された。

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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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