医学検査
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原著
愛媛県における臨床検体からの重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス遺伝子の検出
菅 美樹山下 育孝大倉 敏裕四宮 博人
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2016 年 65 巻 3 号 p. 275-281

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抄録
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は,2009年ごろに中国で初めて確認された新たなダニ媒介性感染症である。今回,2013年3月~2015年3月の期間中に,SFTSを疑い当所に搬入された血液検体52例について,SFTSウイルス遺伝子検査の2種類のプライマーセットの検出感度について検討を行った。その結果,17例が陽性,1例が判定保留であった。陽性17例中16例が発症から6日目までに採取された検体であったことから,遺伝子検査を行う際,発症後おおむね6日以内に採取することが重要であると考えられた。NP領域を特異的に検出するプライマーセット別の検出率は,プライマーセット1が77.8%(14例/18例),プライマーセット2が94.4%(17例/18例)であり,プライマーセット2の検出率が高かった。プライマーセット2のみで検出された3例について,プライマーセット1のNP-1Fプライマー結合部位の塩基配列を解析したところ,1例で3'末端から6番目の位置(A→G)に1塩基ミスマッチが確認された。このため,プライマーと鋳型DNAのミスマッチによる増幅効率の低下と検体中の標的DNAが少なかった相互作用により検出率が低下した可能性が考えられた。NP領域(420 bp)の系統解析を行った結果,愛媛県内で検出された株は,日本国内で検出された株と同じクラスターに属し,中国株とは別のクラスターを形成したことから,日本には土着のSFTSウイルスが存在し,独立的に進化していることが示唆された。
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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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