医学検査
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原著
便失禁患者における肛門機能評価検査
吉田 佳代中島 みどり尾島 優子高野 正太西 勝英山田 一隆高野 正博
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2016 年 65 巻 4 号 p. 373-380

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抄録

当院では,便失禁患者に対し,直腸肛門機能検査で直腸肛門機能の評価を行っている。今回,2003年から2009年に検査を施行した約5,000人の結果から肛門内圧検査(機能的肛門管長(HPZ)・最大静止圧(MRP)・最大随意収縮圧(MSP)と肛門管感覚検査の正常参考値を検討し,便失禁の有無による比較検討を行った。便失禁患者は非失禁患者より肛門内圧が有意に低下し,中でもMRPは低くなるにつれて,便失禁症状が重症化する傾向を認め,50 cm H2O以下の症例は,半数が便失禁を来していた。肛門管感覚は,便失禁患者が非失禁患者より有意に鈍化していた。これらの検査は,肛門機能を客観的に評価し,便失禁治療を選択でき,治療効果の判定にも用いることができるので,患者の治療に対する意識付けとしても有用と考えた。

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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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