医学検査
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資料
当センターにおける内視鏡的大腸病変の分布について―増加傾向にある大腸がんの現状把握のために―
芝 直哉橋本 大祐中谷 祥子岡村 ひろ子木下 肇大塩 稔青山 早苗柳澤 昭夫
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2016 年 65 巻 5 号 p. 570-575

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抄録

我が国の悪性新生物による死亡は増加傾向にあり,中でも大腸がんは2015年部位別罹患数予測の第1位である。そこで現状把握のため2014年4月から2015年9月の間に当センターで下部消化管内視鏡的に採取した248例・645病変の結果をレトロスペクティブに分析した。今回は特に部位別の検討を行ったが,良性悪性ともに分散しており偏在を認めなかった。年代別では,60代・4.1%,70代・5.8%,80代・19.3%と年代が上がるにつれて悪性率が上昇した。また,大きさ別にみると,5 mm未満では悪性病変を認めず,5 mm以上10 mm未満では1.8%,10 mm以上20 mm未満では13.9%,20 mm以上では62.5%と,大きくなるにつれて明らかに悪性率が上昇していた。型別にみると,病変数はIs型が圧倒的に多いが,悪性率は1.4%と高くなかった。1型以上の場合は78.6%と悪性率が高く,特に上行結腸での率は高く注意を要すると考えられた。鋸歯状病変については,過形成性ポリープ(HP),高基性鋸歯状腺腫/ポリープ(SSA/P),古典的鋸歯状腺腫(TSA)の3者に大別し検討した。大きさや型については有意差を認めなかったが,部位についてSSA/Pは右側結腸にしか存在せず,明らかな局在を認めた。同時性大腸がん合併の有無についても検討したが,TSAおよびSSA/PのみならずHPにも合併を認めた。

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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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