2016 年 65 巻 5 号 p. 513-520
我々は,従来法で疑陽性と判定され,組織診を実施した52症例について,液状化検体細胞診(liquid-based cytology; LBC)であるBDシュアパス標本とOSG式判定法(OSG判定)を用いて評価し,子宮内膜細胞診の精度向上を目指した。組織診断で良性29症例(増殖症を含む)と悪性23症例(異型増殖症以上を含む)に分け,OSG判定と比較した。OSG判定は「陰性」,「内膜異型細胞(ATEC)の意義不明(US):ATEC-US」,「異型増殖症以上を除外できない(A):ATEC-A」,「増殖症」,「悪性」に分類され,それぞれの診断結果について,良性29例では5例(17.2%),14例(48.3%),4例(13.8%),6例(20.7%),0例であり,悪性23例は1例(4.3%),2例(8.7%),14例(60.9%),0例,6例(26.1%)であった。加えて,組織診断で良性例の多くがATEC-US(14/18例;77.8%)に属し,悪性例の多くはATEC-A(14/16例;87.5%)であったことより,判定による分類は適正に組織学的診断を反映していることが証明された。化生変化には十分に注意を払い観察する必要があることが今後の課題ではあるが,本方法の普及は子宮内膜細胞診の診断精度向上に大いに期待できる。