2016 年 65 巻 5 号 p. 551-556
抗Sm抗体は全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus; SLE)に対する疾患特異抗体である。対応するSm抗原は,複数のポリペプチドにより複合体を形成しているが,なかでもSmD抗原は,その対応抗体が高い疾患特異性を示すことから,国内外の臨床診断薬の固相化抗原として採用されている。しかし,精製抗原の性質上,目的タンパク以外の共存物質の完全な除去は困難であり,SmBB’抗原が残存する。そのSmBB’抗原がRNP-A抗原,RNP-C抗原と共通のアミノ酸配列をもつため抗U1-RNP抗体と交差反応を起こし,抗Sm抗体が偽陽性になることが報告されている。そこでSmD抗原の中でも,さらにSLEに特異度が高いSmD3のエピトープのペプチド化により作製されたSmD3合成ペプチド抗原を用いた試薬「エリア SmDp」(サーモフィッシャーダイアグノスティックス株式会社)が開発された。本試薬の基礎検討を行ったところ,特異性と感度が向上し,より正確な診断が可能になると考えられた。