医学検査
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症例報告
Jerk locked back averagingによるミオクローヌス起源の同定
島林 健太紙田 晃大栗 聖由佐藤 研吾福田 千佐子廣岡 保明杉原 進前垣 義弘
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2016 年 65 巻 6 号 p. 690-694

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抄録

Jerk locked back averaging(JLA)は,ミオクローヌスの筋放電をトリガーとし,その前後の脳波を加算平均することで,ミオクローヌスの起源を推定する方法である。主に皮質性ミオクローヌスの診断に利用されている。今回JLAを用いてミオクローヌスに先行する棘波を記録し,ミオクローヌスの起源を同定できた一例を経験したので報告する。症例は14歳10ヵ月男児。9歳8ヵ月時,頭部打撲後に全身強直発作が出現したが,頭部CT・MRIに異常は認められなかった。11歳頃より手指のミオクローヌスおよび振戦が出現。14歳時に生活に支障をきたすほどのミオクローヌスが出現したため,精査加療目的に当院へ入院となった。右小指外転筋のミオクローヌスをトリガーとし,トリガー前140 ms,後60 msの脳波を右手感覚野付近5箇所からJLAを導出した。JLAの結果,筋放電より約15.8 ms前に再現性のある二相性(陽性-陰性)の棘波を認め,左半球正中線付近において最大振幅を認めた。また,正中神経刺激によるsomatosensory evoked potential(SEP)にてgiant SEPと中枢伝導時間の延長を認めた。今回,ミオクローヌスの筋放電に先行する頭皮上の棘波,giant SEPおよび中枢伝導時間の延長を認めたため,本小児例のミオクローヌスは皮質下性ミオクローヌスと考えられた。

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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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