医学検査
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2010~2014年の過去5年間におけるペニシリン低感受性Group B Streptococciの感受性率の調査
秋元 誠堀江 里美小野田 靖春宮崎 崇野村 秀和芳賀 厚子赤津 義文大塚 喜人
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2016 年 65 巻 6 号 p. 655-659

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抄録

Streptococcus agalactiae(Group B streptococci; GBS)感染症においてペニシリン系抗菌薬が第一選択薬として使用されるが,近年ペニシリン低感受性GBSが散見されるようになった。2010年から2014年までの5年間に竹田綜合病院,河北総合病院,大分中村病院,松波総合病院の4施設において臨床材料より分離されたGBS 1,465株について感受性の動向を調査するとともに,ペニシリン低感受性GBS(GBS with reduced penicillin susceptibility; PRGBS)が検出された患者背景についても調査した。PRGBSは51株検出され,その材料の内訳は呼吸器系材料43株,泌尿・生殖器系材料5株,褥瘡3株であった。微量液体希釈法によるpenicillin G(PCG),erythromycin(EM),levofloxacin(LVFX),cefepime(CFPM),vancomycin(VCM)の5種類の抗菌薬の感受性率を調査すると,PRGBSにおいてそれぞれPCG 0%,EM 24%,LVFX 27%,CFPM 22%,VCM 100%であった。呼吸器系材料43株のPRGBSの患者背景(全43名)は,38名(88%)が60歳以上の患者,39名(91%)が長期臥床患者であり,呼吸器系材料から検出されることが多い。以上のことから医療施設内での伝播に注意する必要がある。

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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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