2018 年 67 巻 5 号 p. 631-635
新生児聴覚スクリーニングによって聴覚障害を早期に発見することは早期の療育につながり,聴覚障害児のquality of lifeを向上させる可能性がある。本研究は,新生児・乳児において自動聴性脳幹反応(automated auditory brainstem response; AABR)での要再検(refer)と関連の強い臨床的因子を明らかにすることを目的とした。2013年から2016年の3年間に当院でAABRを実施した4,193例を対象として,AABRでのrefer率と聴覚障害ハイリスク因子との関連を検討した。単変量解析では,先天異常症候群・頭頸部奇形・重症仮死・5日以上の人工換気療法・耳毒性薬剤の使用・極低出生体重児は有意にAABRでのrefer率が高かった。多変量解析では,先天異常症候群・頭頸部奇形・重症仮死がreferと独立して有意に関連した。これらの因子を有する児は可及的速やかにAABRを行い,早期療育につなげるべきである。