2019 年 68 巻 1 号 p. 180-185
乳がん治療後に急性前骨髄性白血病(acute promyelocytic leukemia; APL)として発症した治療関連骨髄性腫瘍(therapy-related myeloid neoplasms; t-MN)の症例を経験した。本症例は染色体検査で15;17転座は検出されなかったが,FISH法およびPCR法にてPML/RARA融合遺伝子が確認されたmasked型15;17転座であり,診断における遺伝子検査の重要性を示した。また,乳がん治療中にアルキル化剤を使用しており,本剤を使用した際に出現する特徴的な染色体異常である7番染色体長腕欠失が検出された。一般的に15;17転座をもつt-MNは予後良好であるが,本症例は予後不良とされる7番染色体長腕欠失も併せてもっており,t-MNの予後と染色体異常との関係を示唆する上で貴重な症例であると考えられた。