医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
技術論文
脳梗塞鑑別におけるSF,D-dimerの有用性の検討
西森 美香大原 有理塩田 祐也山﨑 美香弘内 岳
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2019 年 68 巻 1 号 p. 92-98

詳細
抄録

救急搬送された患者に急性期脳梗塞が疑われる場合,心原性脳塞栓症(cardio-embolic stroke; CE)と非心原性脳梗塞(non-cardio-embolic stroke; non-CE)の鑑別は,治療計画決定のため重要である。今回我々は2016年7月~2018年2月に当院救命救急センターに搬送され急性期脳梗塞が疑われた101例(CE群33例,non-CE群68例)を対象とし,可溶性フィブリン(soluble fibrin monomer-fibrinogen complex; SF),D-dimer測定がCEとnon-CEとの鑑別に有用かどうかについて検討した。発症から入院時までの時間(ΔT(Hr))によって,この急性期群患者を次の2群,超急性期群(ΔT ≤ 4.5)および準急性期群(ΔT > 4.5)に分けて解析した。超急性期CE群において,搬送時SF,D-dimer値はNIHSSまたは退院時のmRSとの間に相関は認められず,SF,D-dimer値は搬入時重症度や予後をあらわす因子とは言えなかった。SF,D-dimer測定値はΔTによる群別に拘わらずCE群がnon-CE群に比べて有意に高かった。CE群とnon-CE群を鑑別するためROC解析を行った結果,超急性期群においてSFを測定項目とすることにより,AUCの最大値が得られた(カットオフ値11.8 μg/mL,特異度97%,感度87%)。このことよりSFの測定が超急性期脳梗塞患者のCEとnon-CEの鑑別の補助診断マーカーとなり得ると考えた。

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top