医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
技術論文
第2次国際標準品を標準物質とした試薬「ルミパルスプレストHBsAb-III」の性能評価
木村 千紘大久保 学古川 聡子前田 ひとみ上杉 里枝河口 豊通山 薫
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2021 年 70 巻 4 号 p. 691-696

詳細
抄録

HBs抗体はB型肝炎ウイルスhepatitis B virus(HBV)のHBs抗原に対する抗体であり,HBVの感染既往やHBワクチン接種後における抗体獲得の有無を鑑別するための指標として用いられている。今回我々は世界保健機構(World Health Organization; WHO)の第2次国際標準品(NIBSCcode: 07/164)を標準物質として値付けした試薬ルミパルスプレストHBsAb-IIIの性能評価を行った。併行精度の変動係数(CV)は1.6~3.0%(平均値:22.9,5.6,205.8 mIU/mL),日差再現性のCVは1.7~3.8%(平均値:20.7,5.8,205.6 mIU/mL)であり,希釈直線性は1,000.0 mIU/mLまで原点を通る直線性を認めた。また,定量限界は0.9 mIU/mLであり高感度かつ精度も良好であった。第1次国際標準品を標準物質として値付けした試薬ルミパルスプレストHBsAb-Nとの相関は,相関係数がr = 0.997,線形関係式がy = 1.07x − 9.24であった。カットオフ値である10.0 mIU/mLに対する判定は100%一致した。以上の結果より,本試薬は有用性が高く,日常検査に貢献できる試薬と考えられる。

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top