医学検査
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症例報告
Daptomycin非感性Staphylococcus capitis subspecies urealyticusによる治療に難渋した慢性骨髄炎の一例
畑中 公基山田 景子武田 明木戸 裕勝佐川 美恵吉川 誠一小野 伸高荒川 宜親
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2022 年 71 巻 4 号 p. 748-753

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抄録

症例は60代女性。右下腿開放性骨折受傷後に脛骨慢性骨髄炎を発症した。各種抗菌薬の投与,病巣搔爬,抗菌薬含有人工骨やセメントビーズ留置が5回施行された。受傷4年6ヶ月後,慢性骨髄炎の根治目的に今回の入院となった。病巣搔爬術が施行され,嫌気性菌,ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌を検出。複数の抗菌薬投与の後,第45病日以降の骨周囲培養から,Staphylococcus capitis subspecies urealyticusが分離された。寒天平板希釈法および微量液体希釈法での薬剤感受性試験の結果,vancomycin(VCM),teicoplanin(TEIC),daptomycin(DAP)で高いMIC結果を得た(それぞれ4,64,2 μg/mL)。DAP投与歴は無いがDAP非感性を示した。第76病日よりlinezolidの投与を開始後,解熱,白血球数低下と創部の肉眼的所見の改善が見られ,第79病日に骨周囲培養の陰性化を確認,第133病日に退院となった。本症例は受傷2年2ヵ月後にVCM含有人工骨留置を行っており,その際,高濃度のVCMに曝露されたことで細胞壁が肥厚し感受性が低下した株が選択された可能性が考えられる。本症例のように過去にVCMやTEICの局所投与歴があり,同薬に感受性が低下した菌が分離された際は,DAP投与歴が無くとも薬剤感受性試験を実施し,微生物学的有効性を推定して投薬を判断することが重要であると考えられた。

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© 2022 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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