当院では,血液培養陽性時の薬剤感受性検査直接法は,ボトル内容液からディスク拡散法で行っているが,最終的な結果報告には間接法で実施する必要があり,数日を要する。そこで今回,turn around time(TAT)の短縮を目的に内容液から直接自動機器による同定・感受性検査を行う方法を検討した。当院で期間中に血液培養陽性となった353件(グラム陽性球菌140件,グラム陰性桿菌213件)を対象とし,直接MicroScanWalkAway96plus(ベックマン・コールター社)で同定・薬剤感受性検査(以下迅速法)を実施した。並行して直接ディスク拡散法(以下ディスク法)を実施し,それぞれ間接法と比較した。間接法と迅速法の腸内細菌目細菌菌種名一致率は 98.0%,薬剤感受性検査結果解釈カテゴリー一致率はディスク法79.2%,迅速法94.5%で,迅速法が良好な結果を示した。薬剤別カテゴリー一致率はEscherichia coliで99%以上,Klebsiella pneumoniaeで91%以上を示した。菌種や抗菌薬により注意を要するが,単一菌検出の場合は間接法を省略し,現行より1日早く薬剤感受性検査結果報告をすることが可能であり,臨床的にも経済面でも非常に有益であるといえる。