医学検査
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原著
多項目自動血球分析装置XRシリーズの体液モードの評価と異型細胞検体の検討
保科 ひづる佐藤 さくら河西 美保林 文明浜口 佳子折田 茂
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2024 年 73 巻 1 号 p. 31-53

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Abstract

近年,髄液・穿刺液検査では技師間差の軽減,簡便かつ迅速に報告できることから,自動分析装置が使用される頻度が増している。今回,我々はシスメックス株式会社より新たに開発された多項目自動血球分析装置XRシリーズを評価する機会を得,その体液モードの基礎性能評価と異型細胞検知能,新規機能である3次元スキャッタグラムと出現細胞との関連性を検討した。実効感度,希釈直線性,目視鏡検法およびXNシリーズ(シスメックス株式会社)との相関性は良好な結果で,XRシリーズは体液検査の遂行に十分な性能を有していると考えられた。測定値を用いた異型細胞検知能の検討において,単項目ではHF-BF#(研究用項目)が最も有意であった。2次元スキャッタグラムの特徴量を定義した項目では,異型細胞判別に有意な項目が得られ,測定値(HF-BF#,LY-BF%:研究用項目)と組み合わせると,さらに検知能が向上した。3次元スキャッタグラムの検討では,異型細胞検体のWDF(EXT)スキャッタグラムの特徴として異型細胞と推察される集団がFSC(前方散乱光強度),SSC(側方散乱光強度),SFL(側方蛍光強度)が共に中値から高値の領域にプロットされていた。特に核酸量を反映するSFLは,核クロマチン増量が認められた異型細胞は中値から高値を示したが,中皮細胞や組織球では低く,違いを認めた。今後,スキャッタグラムの特徴量や3次元スキャッタグラム所見の知見の蓄積による,異型細胞検知機能の搭載が望まれる。

Translated Abstract

Recently, hematology analyzers have been used for puncture fluid tests because they are easy to use and generate results quickly and consistently. In this study, we evaluated the basic performance, atypical cell detectability, and the relationship between three-dimensional scattergrams which is new function of the XR-Series and cell morphology confirmed visually in the body fluid mode of the XR-Series, an automated hematology analyzer newly developed by Sysmex. Performance sensitivity, dilution linearity, and correlation with visual microscopy and the Sysmex XN-Series showed good results, suggesting that the XR-Series has sufficient capability to perform body fluid tests. In the evaluation of atypical cell detectability using the measured values, HF-BF# (a research parameter) was the most significant in the monomeric category. Significant items were obtained for the detection of atypical cells in the items defining the features of two-dimensional scattergrams, and higher detectability was confirmed by combining them with the measured values (HF-BF# and LY-BF%: research parameters). In the study of three-dimensional scattergrams, as a feature of WDF (EXT) scattergrams of atypical cell samples, the presumed atypical cell population was plotted in the medium to high FSC (forward scattered light intensity), SSC (side scattered light intensity), and SFL (side fluorescence intensity) regions. In terms of SFL, which reflects the amount of nucleic acid, atypical cells with increased nuclear chromatin showed medium to high levels, whereas mesothelial cells and histiocytes showed low levels, showing significant differences. In the future, we expect to investigate the atypical cell detection function by accumulating research findings on scattergram features and three-dimensional scattergram findings.

I  序文

髄液・穿刺液検査は緊急性の高い病態と関連することが多い背景から,日常検査のみならず日当直帯での対応が求められる。一方で,一般検査の中では尿検査に比較してその依頼件数が少なく,技師の経験値が不足する課題がある。そのような背景から,髄液・穿刺液の細胞数算定・分画検査の実施には,技師間差が少なく,簡便かつ迅速な報告が可能な自動分析装置が使用される頻度が国際的にも増えている1),2)。本検査では,抗菌薬投与治療の基準となる炎症細胞の数値3)や出血の把握と共に,尿検体よりも遭遇頻度が高い異型細胞の確認4)などが重要である。そのため,分析装置においても,精度・正確性の高い細胞計数・分類に加え,分析情報を参考にした異型細胞のスクリーニングが望まれる。また,分析装置ごとの性能や特性を十分に認識して使用することは必須である。2021年にシスメックス株式会社から,多項目自動血球分析装置XNシリーズ(医療機器製造販売届出番号28B1X10014000030,以下,XNシリーズ)の後継機である多項目自動血球分析装置XRシリーズ(医療機器製造販売届出番号28B1X10014000008,以下,XRシリーズ)が発売された。XRシリーズでは機器や一部試薬の変更による白血球分画性能の最適化が図られていると共に,視認性向上を目的とした3次元でのスキャッタグラムおよびサーフェスプロットを観察できる機能が搭載されており5),それらは体液モードにも適応されている。今回我々は,XRシリーズを評価する機会を得てその基礎性能,異型細胞検知能ならびに3次元スキャッタグラムの特性の評価を実施した。

II  対象および方法

1. 対象

当院検査部に検査目的で提出された髄液および穿刺液の残余検体,精度管理血球XN CHECK BF(シスメックス株式会社)および直線性確認用血球試料(シスメックス株式会社,非売品)を用いた。本研究は当院倫理委員会の承認(倫理第11号)を得て実施した。なお,本検討はシスメックス株式会社との共同研究により行った。

2. 方法

検体・試料の測定は,XRシリーズ(以下,XR-1000)ならびにXNシリーズ(以下,XN-1000)を使用し,体液モードにて実施した。本装置において,以下の*をつけた項目は研究用項目であり,BALF(気管支肺胞洗浄液)は測定適用外サンプルである。

1) XR-1000の基礎性能評価

 ①実効感度

XN CHECK BFのLevel 1(低濃度),Level 2(高濃度)をセルパックDCL(シスメックス株式会社)にて多段階に希釈して希釈試料を調整し,各10回連続測定した。各希釈試料の測定平均値と分散(CV)の関係をグラフで示し,得られた近似式におけるCV%が20%以下となるWBC-BF(白血球数)の最小値を白血球計測の実効感度とした。

 ②希釈直線性

胸水(n = 1,白血球数約10.00 × 102/μL),腹水(n = 1,白血球数約100.00 × 102/μLかつ血性),直線性確認用血球試料をセルパックDCLにて多段階に希釈して希釈試料を調整後に測定し,WBC-BFおよびRBC-BF(赤血球数)の直線性を評価した。

 ③相関性

髄液・穿刺液の残余検体計185検体を用い,TC-BF#*(総有核細胞数),MN#/%(単核球数/比率),PMN#/%(多形核球数/比率),NE-BF#*(WDFスキャッタグラムのNEUT:好中球領域の粒子数),LY-BF#*(WDFスキャッタグラムのLYMPH:リンパ球領域の粒子数),Other#(JAMT穿刺液検査標準化WGが提示した3分類法6),7)に準じ,XRシリーズの研究用項目であるMO-BF#*(WDFスキャッタグラムのMONO:単球領域の粒子数)+EO-BF#*(WDFスキャッタグラムのEO:好酸球領域の粒子数)+HF-BF#*(WDFスキャッタグラムのWBC-BF領域より蛍光強度の強い領域に出現する粒子数)の和をOther#と定義した)について,XR-1000と目視鏡検法との相関性を評価した。また同一の検体を用い,WBC-BF,TC-BF#,RBC-BF,MN#/%,PMN#/%,NE-BF#,LY-BF#,Other#について,従来装置であるXNシリーズとの相関性を評価した。検体は,髄液30件,胸水・腹水99件(それぞれ60件,39件),関節液31件,BALF 25件を用いた。ただし,MN%およびPMN%については,XR-1000またはXN-1000のWBC-BFが0.1 × 102/μL未満の検体は評価対象から除外した。

2) XR-1000の体液モードの測定情報による異型細胞検知の検討

 ①XR-1000の測定項目および研究用項目による異型細胞検知能の検討

全測定検体(胸水・腹水)よりWBC Abnormal Scattergramフラグが表示された14検体を除いた計135検体(胸水92件,腹水43件,内,異型細胞を含む検体34件)を対象検体とした。体液モードから算出される測定ならびに研究用項目について,細胞診で証明された異型細胞有/無の検体群に対して単変量/多重ロジスティック回帰分析および決定木分析,ROC(Receiver Operating Characteristic curve)解析を実施し,異型細胞有無の判別能を評価した。ROC解析でのカットオフ値算出にはYouden indexを用いた。

 ②2次元スキャッタグラムによる異型細胞検体の特徴の探索

WDF/WDF(EXT)の2次元スキャッタグラムの4つの特徴量をスケールにて計測し,各軸の長さを100%としたときの比率をFigure 1の通り定義した。全測定検体(胸水・腹水)より,WBC Abnormal Scattergramフラグが表示された検体およびHF-BF#が0.1 × 102/μL未満の検体を除いた101検体(胸水71件,腹水30件,内,異型細胞を含む検体30件)を対象検体とした。WDF/WDF(EXT)スキャッタグラムの特徴量とXR-1000の測定・研究用項目を組み合わせ,異型細胞有/無の検体群に対して単変量/多重ロジスティック回帰分析および決定木分析を実施し,異型細胞有無の判別能を評価した。

Figure 1  2次元スキャッタグラムによる異型細胞検体の特徴量の定義

WDF/WDF(EXT)スキャッタグラムの4つの特徴量をスケールにて計測し,各軸の長さを100%としたときの比率を定義した。

 ③3次元スキャッタグラムと出現細胞との関連性の検討

異型細胞の形態・細胞学的特徴と3次元スキャッタグラムのパターンとの関連性を検討するため,細胞診にて診断済みの検体37件[症例内訳:腺癌27例(臓器別乳癌6例,胃癌5例,肺腺癌5例,膵臓癌3例,胆嚢癌2例,子宮体部癌2例,原発不明腺癌4例),小細胞癌3例,悪性リンパ腫1例,悪性黒色腫1例,扁平上皮癌1例,悪性中皮腫4例]の細胞形態とXR-1000の3次元スキャッタグラムの特徴の関連性を検討した。また,当該装置による異型細胞判別の課題として,3分類法のその他(Other)に分類される組織球,中皮細胞は,異型細胞と同様にHF-BF領域にもこれら細胞が出現し,現在の2次元スキャッタグラムのHF-BF領域の観察では,それらの鑑別が困難である。そのため,組織球・中皮細胞が出現している検体(n = 34)の形態と3次元スキャッタグラムの特徴の関連性を考察し,出現位置の検討を行った。

統計解析はJMP®15(SAS Institute)を使用し,その有意水準はp < 0.05とした。

III  結果

1. XR-1000の基礎性能評価

1) 実効感度

各希釈試料の測定平均値と分散(CV)の関係を示したグラフから得られる近似式においてCV%が20%以下となる時のWBC-BFの最小値は,0.02 × 102/μLであった(Figure 2)。

Figure 2  WBC-BFの実効感度

WBC-BFの実効感度は0.02 × 102/μLであった。

2) 希釈直線性

胸水ではWBC-BFが0.00~10.52 × 102/μL,腹水ではWBC-BFが0.00~102.58 × 102/μL,RBC-BFが0.0~2.6 × 104/μL,直線性確認用血球試料ではWBC-BFが0.00~116.70 × 102/μL,RBC-BFが0.0~568.7 × 104/μLでの低~高値域の直線性が確認できた(Figure 3)。

Figure 3  WBC-BFとRBC-BFの希釈直線性

直線性確認用血球試料ではWBC-BFが0.00~116.70 × 102/μL,RBC-BFが0.00~568.7 × 104/μLでの低~高値域の直線性が確認できた。

3) 相関性

BALFを除く全検体における各項目のXR-1000と目視鏡検法との相関性を評価した(Figure 4)。相関係数(r)は,0.950~0.973であった。また検体種ごとの回帰式,相関係数(r)の結果をTable 1に示した。相関係数(r)は,TC-BF#で0.964~0.991,MN#で0.906~0.986,PMN#で0.891~0.989,MN%で0.933~0.961,PMN%で0.933~0.975,NE-BF#で0.935~0.979,LY-BF#で0.953~0.990,Other#で0.893~0.990であった。

Figure 4  全検体(BALFを除く)における目視鏡検法とXR-1000との相関性

XR-1000と目視鏡検法との相関性を評価した結果,相関係数(r)は0.950~0.973であった。

Table 1 検体種別の目視鏡検法とXR-1000の相関性

検体種 項目名 単位 N数 平均値 回帰式 相関係数
目視鏡検法 XR-1000
髄液 TC-BF# 102/μL 30 0.057 0.083 y = 1.391x + 0.005 r = 0.975
MN# 102/μL 30 0.045 0.072 y = 1.382x + 0.010 r = 0.986
PMN# 102/μL 30 0.007 0.009 y = 0.616x + 0.005 r = 0.891
MN% % 8 82.25 85.49 y = 0.707x + 27.36 r = 0.954
PMN% % 8 17.75 14.51 y = 0.707x + 1.968 r = 0.954
胸水・腹水 TC-BF# 102/μL 99 11.167 12.154 y = 1.087x + 0.019 r = 0.975
MN# 102/μL 99 7.115 7.089 y = 0.928x + 0.488 r = 0.953
PMN# 102/μL 99 3.865 4.414 y = 1.113x + 0.113 r = 0.974
MN% % 93 73.10 73.18 y = 0.892x + 8.012 r = 0.959
PMN% % 93 24.44 26.82 y = 0.902x + 4.786 r = 0.975
NE-BF# 102/μL 99 3.436 4.019 y = 1.153x + 0.060 r = 0.979
LY-BF# 102/μL 99 4.593 5.010 y = 1.045x + 0.212 r = 0.990
Other# 102/μL 99 3.138 3.602 y = 1.157x − 0.030 r = 0.988
関節液 TC-BF# 102/μL 31 23.170 25.965 y = 0.994x + 2.924 r = 0.964
MN# 102/μL 31 5.451 7.271 y = 0.982x + 1.916 r = 0.906
PMN# 102/μL 31 17.684 18.470 y = 0.993x + 0.902 r = 0.965
MN% % 31 48.94 53.36 y = 0.915x + 8.592 r = 0.961
PMN% % 31 51.00 46.64 y = 0.916x − 0.062 r = 0.961
NE-BF# 102/μL 31 17.669 18.196 y = 0.981x + 0.868 r = 0.963
LY-BF# 102/μL 31 1.937 2.507 y = 0.999x + 0.573 r = 0.953
Other# 102/μL 31 3.529 3.754 y = 1.013x + 0.180 r = 0.990
BALF TC-BF# 102/μL 25 5.016 6.770 y = 1.171x + 0.896 r = 0.991
MN# 102/μL 25 4.020 4.586 y = 1.264x − 0.494 r = 0.986
PMN# 102/μL 25 0.996 1.338 y = 1.165x + 0.177 r = 0.989
MN% % 25 82.92 74.94 y = 1.066x − 13.46 r = 0.933
PMN% % 25 17.08 25.06 y = 1.066x + 6.855 r = 0.933
NE-BF# 102/μL 25 0.458 0.801 y = 1.360x + 0.178 r = 0.935
LY-BF# 102/μL 25 2.871 3.848 y = 1.271x + 0.198 r = 0.989
Other# 102/μL 25 1.687 2.533 y = 1.080x + 0.711 r = 0.893

またBALFを除く全検体における各項目のXR-1000とXN-1000との相関性を評価した(Figure 5)。相関係数(r)は,0.992~1.000であった。

Figure 5  全検体(BALFを除く)におけるXN-1000とXR-1000との相関性

XR-1000とXN-1000との相関性を評価した結果,相関係数(r)は0.992~1.000であった。

また検体種ごとの回帰式,相関係数(r)の結果をTable 2に示した。相関係数(r)は,WBC-BFで0.982~1.000,TC-BF#で0.981~1.000,RBC-BFで0.992~1.000,MN#で0.982~0.999,PMN#で0.937~0.999,MN%で0.973~0.995,PMN%で0.973~0.995,NE-BF#で0.982~0.999,LY-BF#で0.992~1.000,Other#で0.977~0.998であった。

Table 2 検体種別のXN-1000とXR-1000の相関性

検体種 項目名 単位 N数 平均値 回帰式 相関係数
XN-1000 XR-1000
髄液 WBC-BF 102/μL 30 0.079 0.082 y = 1.108x − 0.006 r = 0.982
TC-BF# 102/μL 30 0.081 0.083 y = 1.102x − 0.006 r = 0.981
RBC-BF 104/μL 30 0.00 0.00 y = 1.202x − 0.000 r = 0.996
MN# 102/μL 30 0.067 0.072 y = 1.094x − 0.001 r = 0.982
PMN# 102/μL 30 0.012 0.009 y = 0.846x − 0.001 r = 0.937
MN% % 8 84.05 85.49 y = 1.056x − 3.266 r = 0.973
PMN% % 8 15.95 14.51 y = 1.056x − 2.330 r = 0.973
胸水・腹水 WBC-BF 102/μL 99 12.410 11.504 y = 0.909x + 0.227 r = 0.989
TC-BF# 102/μL 99 13.152 12.154 y = 0.909x + 0.196 r = 0.989
RBC-BF 104/μL 99 0.09 0.09 y = 1.031x + 0.000 r = 1.000
MN# 102/μL 99 7.556 7.089 y = 0.914x + 0.183 r = 0.996
PMN# 102/μL 99 4.854 4.414 y = 0.917x − 0.038 r = 0.984
MN% % 93 72.23 73.18 y = 1.004x + 0.653 r = 0.991
PMN% % 93 27.77 26.82 y = 1.004x − 1.058 r = 0.991
NE-BF# 102/μL 99 4.489 4.019 y = 0.906x − 0.047 r = 0.982
LY-BF# 102/μL 99 5.499 5.010 y = 0.895x + 0.088 r = 0.999
Other# 102/μL 99 3.164 3.125 y = 0.978x + 0.031 r = 0.993
関節液 WBC-BF 102/μL 31 26.730 25.741 y = 0.998x − 0.921 r = 0.998
TC-BF# 102/μL 31 27.045 25.965 y = 0.997x − 0.993 r = 0.998
RBC-BF 104/μL 31 0.04 0.04 y = 1.018x − 0.000 r = 1.000
MN# 102/μL 31 7.725 7.271 y = 0.958x − 0.133 r = 0.984
PMN# 102/μL 31 19.004 18.470 y = 0.996x − 0.460 r = 0.999
MN% % 31 52.74 53.36 y = 1.021x − 0.481 r = 0.995
PMN% % 31 47.26 46.64 y = 1.021x − 1.612 r = 0.995
NE-BF# 102/μL 31 18.815 18.196 y = 0.993x − 0.489 r = 0.999
LY-BF# 102/μL 31 2.868 2.507 y = 0.938x − 0.182 r = 0.992
Other# 102/μL 31 5.362 5.262 y = 1.009x − 0.150 r = 0.977
BALF WBC-BF 102/μL 25 6.193 5.924 y = 0.971x − 0.092 r = 1.000
TC-BF# 102/μL 25 7.007 6.770 y = 0.960x + 0.041 r = 1.000
RBC-BF 104/μL 25 0.00 0.00 y = 0.990x − 0.000 r = 0.992
MN# 102/μL 25 4.744 4.586 y = 0.976x − 0.043 r = 0.999
PMN# 102/μL 25 1.449 1.338 y = 0.932x − 0.013 r = 0.999
MN% % 25 74.40 74.94 y = 0.932x + 5.623 r = 0.994
PMN% % 25 25.60 25.06 y = 0.932x + 1.219 r = 0.994
NE-BF# 102/μL 25 0.968 0.801 y = 0.778x + 0.048 r = 0.984
LY-BF# 102/μL 25 3.928 3.848 y = 0.972x + 0.029 r = 1.000
Other# 102/μL 25 2.111 2.122 y = 1.042x − 0.078 r = 0.998

2. XR-1000の体液モードの測定情報による異型細胞検知の検討

1) XR-1000の測定項目および研究用項目による異型細胞検知能の検討

異型細胞有/無の検体群に対して単変量解析を実施し,異型細胞有無の判別能を評価した結果,WBC-BF,TC-BF#,LY-BF#,MO-BF#,HF-BF#/%*(HF-BF#のWBC-BFに対する比率),RBC-BFの7項目において統計学的有意差を認め,HF-BF#が最も有意であった(p < 0.0001)(Table 3)。

Table 3 測定項目および研究用項目による異型細胞検知能の単変量解析

p value AUC
WBC-BF 0.0256 0.628
TC-BF# 0.0197 0.634
LY-BF# 0.0018 0.679
MO-BF# 0.0019 0.678
HF-BF# < 0.0001 0.740
HF-BF% 0.0367 0.620
RBC-BF 0.0238 0.371

HF-BF#による異型細胞有/無の検体群に対してのROC解析では,AUC(Area Under the Curve)は0.740,カットオフ値は0.33 × 102/μLで感度・特異度は79.4%,64.4%であった。相関係数(r)は,WBC-BFで0.982~1.000,TC-BF#で0.981~1.000,RBC-BFで0.992~1.000,MN#で0.982~0.999,PMN#で0.937~0.999,MN%で0.973~0.995,PMN%で0.973~0.995,NE-BF#で0.982~0.999,LY-BF#で0.992~1.000,Other#で0.977~0.998であった。

HF-BF#とLY-BF%*(LY-BF#のWBC-BFに対する比率)の多重ロジスティック回帰モデル(予測モデル = −2.626 + 0.008HF-BF# + 0.016LY-BF%)での異型細胞有/無の検体群に対してのROC解析ではAUCは0.757,感度・特異度は82.4%,59.4%であった。

HF-BF#,NE-BF%*(NE-BF#のWBC-BFに対する比率),LY-BF#/%を用いた決定木分析では樹形図が第4層,終端ノード7(Figure 6),異型細胞有/無の検出感度・特異度はそれぞれ94.1%,64.4%であった。この決定木分析結果のROC解析において,AUCは0.863であった。

Figure 6  測定項目と研究用項目を組み合わせた決定木分析による異型細胞の検知

HF-BF#,NE-BF%,LY-BF#/%を用いた決定木分析では樹形図が第4層,終端ノード7で,ROC解析におけるAUCは0.863であった。

2) 2次元スキャッタグラムによる異型細胞検体の特徴の探索

Figure 1にて定義した4つのスキャッタグラムの特徴量について,異型細胞有/無の検体群に対して単変量解析を実施した結果,SFL%-A,SFL%-B,SFL%-Cにおいて有意差を認めた(Table 4)。

Table 4 2次元スキャッタグラムの特徴量項目の単変量解析

p value AUC
SSC% 0.1002
SFL%-A < 0.0001 0.777
SFL%-B 0.0011 0.706
SFL%-C < 0.0001 0.750

これら特徴量のROC解析において,SFL%-AのAUCが0.777と最も高値となり,感度・特異度はそれぞれ63.3%,85.9%,カットオフは3.8%であった。

HF-BF#,LY-BF%,SFL%-Aの多重ロジスティック回帰モデル(予測モデル = −1.164 + 0.004HF-BF# − 0.017LY-BF% − 0.062SFL%-A)による異型細胞有/無の検体群に対してのROC解析ではAUCは0.801,感度・特異度は66.7%,85.9%であった。

SSC%,SFL%-A,HF-BF#/%,LY-BF%を用いた決定木分析では樹形図が第4層,終端ノード6(Figure 7),異型細胞有/無の検出感度・特異度はそれぞれ96.7%,77.5%であった。この決定木分析結果によるROC解析でのAUCは0.925であった。

Figure 7  XR-1000の項目と特徴量項目を組み合わせた決定木分析による異型細胞の検知

SSC%,SFL%-A,HF-BF#/%,LY-BF%を用いた決定木分析では樹形図が第4層,終端ノード6で,ROC解析におけるAUCは0.925であった。

3) 3次元スキャッタグラムと出現細胞との関連性の検討

各異型細胞を含む検体におけるXR-1000の3次元WDF(EXT)スキャッタグラムのFSC,SSC,SFLを軸に,異型細胞の塗抹標本像を照らし合わせたところ,それぞれの特徴は(Table 5)のように対応する結果となった。異型細胞を含む検体のWDF(EXT)の3次元スキャッタグラムでは,大きさを反映するFSC,細胞内部構造を反映するSSC,核酸量を反映するSFLが,いずれも中値から高値の領域にHF-BFのプロットが多く出現していた。また,結合性や集塊を示す異型細胞はFSCとSFL共に高値領域に集団を形成するスキャッタグラム像が認められ,中型細胞で孤立性や散在性の場合は,FSC,SFL共に中値から高値にプロットされていた。異型細胞においてSFLが高値領域に出現するのは,核クロマチンの増量が認められることと一致していた。

Table 5 塗抹標本像とXR-1000の各光学パラメータの特徴の対比

塗抹標本像 XR-1000
FSC SSC SFL
集塊,結合性あり
孤立散在性 大型細胞
小型細胞
大小不同 低~中
核形 円形
不整形核
細胞質内 粘液あり 中~高
顆粒状 中~高
クロマチン繊細

疾患別において,肺癌症例の中型細胞で細胞内に粘液があまり見られない乳頭状集塊の細胞像(Figure 8)では,FSC,SSC,SFLが上限の壁に張り付くようにいずれも高値領域にプロットされ,SFLは幅広くプロットが認められた。また細胞内に粘液を豊富に含んだ大型細胞の像(Figure 9)では,FSCとSFLの中値から高値に幅広くプロットが認められ,SSCも中値から高値を示した。このように同じ肺癌症例においても,中型細胞の乳頭状集塊や細胞内に粘液を豊富に含む大型細胞のように細胞所見が異なれば,FSCとSSCに違いを認めた。

Figure 8  肺癌(乳頭状集塊)におけるXR-1000のスキャッタグラム(A, B)と塗抹標本像(C, D)

肺癌症例・塗抹標本では中型細胞で細胞内に粘液があまり見られない乳頭状集塊を認め,WDF(EXT)スキャッタグラムでは,FSC,SSC,SFLが壁に張り付くようにいずれも高値にプロットされ,SFLは幅広くプロットが認められた。

Figure 9  肺癌(粘液を豊富に含んだ大型細胞)におけるXR-1000のスキャッタグラム(A, B)と塗抹標本像(C, D)

肺癌の粘液を豊富に含んだ大型細胞の塗抹標本では,乳頭状の集塊の肺癌とは違い,WDF(EXT)スキャッタグラムでは,FSC とSFLは中値から高値に幅広く認められ,SSCも中値から高値を示した。

中型の孤立散在性の腫瘍は,大型細胞や集塊を形成する腫瘍と違い,FSCが高値ではなく中値に細胞集団を認めた。低分化型の胃癌(Figure 10)の細胞所見は中型で孤立散在性であり,SFLの中程度にプロットの多くが位置し,FSCは中値から塗抹標本で数個の結合も認めたため高値まで広がっており,SSCは高値で,これは細胞所見とも一致していた。乳癌(Figure 11)は,中型細胞でクロマチンは繊細,結合性がみられ,FSCおよびSSCが中値から高値,SFLが中値を示した。また,小型細胞である小細胞癌(Figure 12)のFSCは中値から高値で,悪性リンパ腫(Figure 13)のFSCは低値から中値であった。細胞像所見で小細胞癌は特徴ある結合性(インディアンファイル状配列)を認め,悪性リンパ腫は孤立散在性であるため,小細胞癌のFSCはより壁に張り付くようなプロットが多く存在した。また胆嚢癌(Figure 14)の細胞像の特徴は,小型で結合性を認め,N/C比が大きいため,これらよりFSCとSSCが中値から高値となった。扁平上皮癌(Figure 15)は,奇形で大小不同の多彩な細胞が出現8)するため,FSCは中値から高値まで幅を認めた。核も大小不同で,N/C比にもばらつきがあり,SSCは中値から高値であった。さらにSFLが中値程度にとどまっていることから,スキャッタグラムよりSFLが高値領域まで伸びる腺癌との違いを認めた。悪性リンパ腫(Figure 13)と悪性中皮腫(Figure 16)では,SSCは中値から高値で類似していたが,SFLについては,悪性リンパ腫はLY-BFから立ち上がり,悪性中皮腫はMO-BF(中皮細胞と考えられる領域)から上方に伸びていた。

Figure 10  胃癌におけるXR-1000のスキャッタグラム(A, B)と塗抹標本像(C, D)

低分化型の胃癌の塗抹標本では中型で孤立散在性,さらに数個の結合のある異型細胞も認めた。WDF(EXT)スキャッタグラムでは,SFLの中程度にプロットの多くが位置し,FSCは中値から高値まで広がっており,SSCは高値であった。

Figure 11  乳癌におけるXR-1000のスキャッタグラム(A, B)と塗抹標本像(C, D)

乳癌の塗抹標本では中型細胞でクロマチンが繊細,結合性のある異型細胞が認められた。WDF(EXT)スキャッタグラムでは,FSCおよびSSCが中値から高値,SFLが中値を示すプロットが認められる。

Figure 12  小細胞癌におけるXR-1000のスキャッタグラム(A, B)と塗抹標本像(C, D)

小細胞癌の塗抹標本では特徴ある結合性(インディアンファイル状配列)を認めたことから,WDF(EXT)スキャッタグラムでは,FSCは中値から高値で壁に張り付くようなプロットも多くある。

Figure 13  悪性リンパ腫におけるXR-1000のスキャッタグラム(A, B)と塗抹標本像(C, D)

悪性リンパ腫の塗抹標本では孤立散在性の異型細胞が認められる。WDF(EXT)スキャッタグラムではFSCは低値から中値で小細胞癌と類似している。

Figure 14  胆嚢癌におけるXR-1000のスキャッタグラム(A, B)と塗抹標本像(C, D)

胆嚢癌細胞像の特徴は,小型で結合性を認め,N/C比が大きい。これよりWDF(EXT)スキャッタグラムのFSCとSSCが高値となったと考えられる。

Figure 15  扁平上皮癌におけるXR-1000のスキャッタグラム(A, B)と塗抹標本像(C, D)

扁平上皮癌では,奇怪で大小不同の多彩な細胞が出現するため,WDF(EXT)スキャッタグラムのFSCは中値から高値まで幅を認めた。核も大小不同で,N/C比にもばらつきがあることから,SSCは中値から高値であった。

Figure 16  悪性中皮種におけるXR-1000のスキャッタグラム(A, B)と塗抹標本像(C, D)

悪性中皮種のWDF(EXT)スキャッタグラムでは,FSCとSSCは中値から高値で,SFLは中皮細胞と考えられる領域から上方に伸びている。

悪性リンパ腫は通常塗抹標本では小型から中型細胞を認め,今回の検討時にみられたDiffuse large B- cell Lymphoma(DLBCL)症例でも,小型から中型で核にしわや切れ込み,分葉核などの核型不整を認め,微細なクロマチンで核小体9),10)も認めた。これらの特徴がスキャッタグラムでは,FSCが低値から中値,SFLが中値から高値であった所見と一致していた。また悪性中皮腫4症例と中皮細胞(Figure 17)が出現している3症例を比較検討したところ,悪性中皮腫の方がよりSFLの高値領域まで伸びており,違いが認められた。

Figure 17  肝硬変におけるXR-1000のスキャッタグラム(A, B)と塗抹標本像(C)

肝硬変の腹水塗抹標本では中皮細胞が43%,組織球が37%認められた。WDF(EXT)スキャッタグラムでは,MO-BFのやや上方でFSCが中値の領域からFSC,SFLが高い領域にかけてプロットが認められた。

非腫瘍性検体のスキャッタグラムにおいても,その特徴の探索を行った。門脈圧亢進症の胸水(Figure 18)のスキャッタグラムでは,MO-BFのやや上方でFSCが中値の領域に多数のプロットが見られ,塗抹標本像において組織球は45%であった。肝硬変の腹水(Figure 17)のスキャッタグラムでは,MO-BFのやや上方でFSC およびSFLが中値から高い領域にかけてプロットが認められ,塗抹標本では中皮細胞が43%,組織球が37%であった。このように,核クロマチンの増量が認められる異型細胞を含む検体では,HF-BFのプロットのSFLが中値から高値を示す一方で,HF-BF領域に出現する中皮細胞や組織球と推察される集団のSFLは低く,異型細胞と違いを認めた。中皮細胞や組織球のFSCは中値程度であり,さらに中皮細胞は組織球よりFSCとSFLのやや高い領域に出現する傾向を認めた。形態学的に,中皮細胞は組織球よりも細胞や核は厚みを伴い立体的であるためFSCとSFLの高い領域に出現した。

Figure 18  門脈圧亢進症におけるXR-1000のスキャッタグラム(A, B)と塗抹標本像(C)

門脈圧亢進症の胸水では組織球を45%認め,WDF(EXT)スキャッタグラムでは,MO-BFのやや上方でFSCが中値の領域に多数のプロットが見られる。

IV  考察

XRシリーズの体液モードにおける実効感度および希釈直線性の検討結果は良好であったことから,日常検査で遭遇する極低値から高値の細胞数まで十分な測定性能を有していると考える。目視鏡検法との相関性評価は,良好な結果が得られ,目視鏡検の代替として運用可能と思われる。髄液検体では回帰式にやや傾きが見られたが,これは,検体数が30件と少なく,また有核細胞数の平均値が0.057 × 102/μLと細胞数の少ない検体が多数であったことが要因として考えられた。当院で使用しているXNシリーズとの相関も良好であり,XNシリーズとXRシリーズの間で互換性のある運用が可能と考えられる。特に研究用項目であるTC-BF#およびJAMT穿刺液検査標準化WGの提示に準ずる3分類5),6)が,日常検査に有用と考える。

XRシリーズの異型細胞検知能として,単項目ではHF-BF#が最も有意であり,これは既報11),12)と同様の結果であった。HF-BF#はWDFスキャッタグラムのWBC-BF領域より蛍光強度の強い領域に出現する粒子数で,核酸量が多く含まれる細胞がカウントされる。これが異型細胞の所見と一致するため,異型細胞検知能に最も優れている結果となったと考えられる。さらに,統計学的手法を用いた複数項目の組み合わせの手法である多重ロジスティック回帰分析や決定木分析を用いることによって,その弁別能の向上が可能であった。

本検討で扱った2次元スキャッタグラムで定義した特徴量においても,異型細胞の判別に有意なものが得られた。これら特徴量に装置から得られる測定値を組み合わせることで,さらに高い異型細胞の検知能が確認できた。そのため,この様なスキャッタグラムの特徴量を反映する項目の装置への実装や,それらより得られる情報の組み合わせによる異型細胞検知を支援するメッセージ機能(フラッギング)の構築が期待される。

異型細胞を含む検体の3次元のWDF(EXT)スキャッタグラムと細胞形態の関連性について,大きさを反映するFSC,細胞内部構造を反映するSSC,核酸量を反映するSFLが,いずれも中値から高値の領域にHF-BFのプロットが多く出現する傾向にあった。また,それら散乱光・蛍光強度については細胞の出現様式や形態と関連する部分が多いことが分かり,3次元でのスキャッタグラムの観察が,細胞形態や病態の把握として活用され,診療への貢献が期待される。有効例として,悪性中皮腫が挙げられる。塗抹標本でも悪性かどうかの判定が難しく,セルブロックや多くの免疫染色,また胸膜生検などを行い診断されることが多い。アスベスト曝露が無くても,発症している報告もあり,本邦における今後の発生ピークは2030年頃で,罹患者数や死亡率は増加傾向にある13)。したがって,今回複数の同症例のスキャッタグラムの観察で得られた所見のように,SSCやSFLは中値から高値で,FSCは壁に張り付くように高値を示すという特徴あるスキャッタグラム像から,わずかでも異常を疑うことができれば,病理や細胞診検査への橋渡しができ,早期診断と治療につなげることができると思われた。また,異型細胞の判断が難しい施設において,3次元スキャッタグラムの情報から異型細胞を疑うきっかけになることが示唆された。一方で,同じ癌腫でもスキャッタグラムの出現様式に多様性がある事例も経験したことから,3次元スキャッタグラムの活用については今後より多くの研究と知見の蓄積が必要であると考える。

また,従来の2次元スキャッタグラムではHF-BF領域に同時に出現する異型細胞,中皮細胞,組織球の鑑別は困難であったが,WDF(EXT)の3次元スキャッタグラムの観察により,各々の細胞の出現位置が推察された。これら情報から,将来的にHF-BFが高値の際に,異型細胞もしくは中皮細胞・組織球のどちらに因るかを装置から提示できることは,異型細胞のスクリーニング機能として有用であると考える。

V  結語

XRシリーズの体液モードは目視と良好な相関性と基礎性能を有していることが確認でき,既存機種のXNシリーズと互換性も認めたことから,日常の体液細胞検査に使用可能と考えた。また,XRシリーズの3次元スキャッタグラムにおける異型細胞の出現位置について,多くの知見が得られた。今後,さらなる臨床研究を行い,異型細胞の診断や治療に結び付くより多くの知見を集積したい。さらに,スキャッタグラムの特徴量の項目化やメッセージ機能(フラッギング)による分析装置での自動の異型細胞検知が望まれる。

COI開示

本論文に関連し,開示すべきCOI 状態にある企業等はありません。

文献
 
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