医学検査
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技術論文
血清除タンパク処理法7種類の性能比較
岡田 光貴天田 実玖柏原 紗季葛城 古都堂前 美晴森脇 柾山内 涼平吉田 純
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2024 年 73 巻 2 号 p. 242-250

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抄録

除タンパク処理法とは試料液からタンパク質成分を除去する方法であり,目的物質の測定に際してタンパク質の妨害が考えられる場合に実施する。方法は複数報告されているが,それぞれの除タンパク性能の比較検証はほとんど為されていない。本研究では,各手法の除タンパク性能と,その性能を評価するために有用な実験手法を比較検討した。飽和硫酸アンモニウム(AS),アセトン,アセトニトリル,10%トリクロロ酢酸(TCA),1N過塩素酸,10%スルホサリチル酸,10%タングステン酸ナトリウム・2/3N硫酸(TGA)から1種類を血清に等量添加することで,除タンパク処理を実施した。その後,血清の外観・色度,Lowry法,電気泳動,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析,生化学自動分析といった5手法の除タンパク性能を評価した。ASとTGAで処理した血清は,上記いずれの分析法でも,元々の血清タンパク質の1/2–1/3程度の量が残存している結果となった。TCAで処理した血清は残存するタンパク質が極めて微量で,優れた除タンパク性能が示された。尿酸,尿素窒素,クレアチニンに除タンパク処理が与える影響は小さかった。自動分析以外では電気泳動法やHPLC分析が,タンパク残量の評価に優れることが判った。臨床検査等で被検試料に除タンパク処理を実施する場合,目的物質に与える影響を十分に考慮して方法を選択する必要がある。

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© 2024 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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