現在,乏突起膠腫の診断において1pおよび19qの共欠失の有無は必須の評価項目とされている。この共欠失は通常FISH法によって検索されているが,作業手順が煩雑で,かつ標本を長期保存することが困難であるという問題がある。そこで光学顕微鏡で観察可能なCISH法を半自動化するための基礎検討を行った。対象としてFISH法により1p/19q共欠失解析が既に行われた20例を用いて,semi-automated CISH(saCISH)法を実施した。この方法では前処理を自動免疫染色装置で行い,標識プローブをハイブリダイズさせた後,再び自動免疫染色装置により標識プローブに対する染色を行い,欠失する染色体を赤色,対照となる染色体を茶色で発色させて可視化した。作製した標本において各シグナルをカウントし,比率を算出した。saCISH法とFISH法の判定結果と比較したところ,全例で一致が確認された。各比率から求めた相関係数はR = 0.95,0.92であった。saCISH法はFISH法と比較すると作業時間が約100分から35分へ短縮するとともに標本作製の前処理を自動化することで煩雑さを改善した。しかし,saCISH法ではシグナルが重なると赤色シグナルが茶色にみえること,非特異的な色素沈着によるシグナルカウントへの影響などの問題が示された。従って,標識プローブの発色方法の改善が必要であると考えられた。