【目的】血中のα-アミラーゼ(AMY)活性測定は,唾液腺疾患や膵疾患などの診断に用いられる。我々は,AMY活性測定法であるGal-G2-CNPとEt-G7-pNPで相関試験を行った際,活性値が大きく乖離した検体を経験した。そこで測定試薬の基質間の特性,およびその値が乖離した原因の調査を行った。【方法】AMY,P-AMY測定試薬について相関性を評価し,アイソザイムの違いやα-グルコシダーゼ阻害剤の影響による基質間の反応性を調査した。さらに,大きく乖離を認めた検体について,PEG処理を実施した。【結果】相関性はAMY,P-AMYとも強い相関を示した。乖離率を3群に分けた結果,P-AMYの割合が低くなるほど有意にGal-G2-CNP,Et-G7-pNP間で乖離率が増加した(p < 0.001)。α-グルコシダーゼ阻害剤は基質に対して影響を認めなかった(p = 0.703)。大きく乖離を認めた検体にPEG処理を行い,マクロアミラーゼであると疑われた。【考察】Gal-G2-CNPおよびEt-G7-pNPのAMY,P-AMY測定試薬で強い相関を認めた。しかし,基質間でAMYはP-AMYの割合により反応性が異なっていた。PEG処理によって乖離検体はマクロアミラーゼであったことが示唆されたが,大きく乖離した原因の解明には至らなかった。今後本邦において,AMY測定の標準化法への移行が進めば,今回のような乖離事例で臨床に混乱を与える可能性は低くなると考える。