骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍(myelodysplastic/myeloproliferative neoplasms; MDS/MPN)は,MDSとMPN双方の特徴を併せ持つ。今回,5番染色体長腕の欠失(del(5q))に加えてMPNで高頻度にみられるJAK2V617F変異を認めた2例を経験した。症例1は60歳代女性,赤血球・血小板増多で来院。血球3系統が増加し,JAK2V617F陽性であった。骨髄は過形成で,小型で低分葉核の巨核球が増加し,単独のdel(5q)を認めたが,MDSの基準に合致せず,MDS/MPNと診断した。症例2は70歳代,男性。大球性貧血で紹介されたが,軽度の血小板増多もあり,JAK2V617Fが陽性であった。骨髄は正形成で,好中球に偽Pelger核異常があり,小型で低分葉核の巨核球が増加していた。染色体検査でdel(5q)の他,複数の核型異常を認め,MDSと診断した。症例1・2とも低芽球比率と5番染色体長腕欠失を伴うMDS[MDS del(5q)]に特徴的な巨核球形態を呈し,血小板数の増加を加味するとdel(5q)の存在を疑うことは可能と考える。しかし,del(5q)以外にもJAK2V617F変異や染色体異常がある場合,末梢血所見や骨髄像がMDS del(5q)とは異なり,必ずしも定型的診断とはならない。細胞遺伝学的・分子生物学的情報の検索による適切な診断が必要である。
Myelodysplastic/myeloproliferative neoplasm (MDS/MPN) is a category of diseases that combines features of both MDS and MPN. In this report, two cases with the cytogenetic abnormality del(5q), as well as JAK2V617F mutation which is frequently detected in MPN, are described. Case 1 was a woman in her 60s who was referred to our hospital for detailed examination of her polycythemia and thrombocythemia. Peripheral blood examination showed pancythemia, and JAK2V617F mutation was present. The bone marrow showed hyperplasia and an increased number of megakaryocytes with small non-lobated nuclei. Chromosomal analysis showed an isolated del (5q), but it did not meet the criteria for MDS, and a diagnosis of MDS/MPN was made. Case 2 was a man in his 70s who was referred to our hospital for detailed examination of macrocytic anemia and mild thrombocythemia. JAK2V617F mutation was positive, and the bone marrow showed normocellular marrow with pseudo-Pelger Huët anomaly in neutrophils and increased megakaryocytes with small, non-lobated nuclei. Chromosomal analysis showed some karyotypic abnormalities in addition to del(5q), resulting in a diagnosis of MDS. Since both cases showed megakaryocyte morphology characteristic of MDS del(5q), it may be possible to suspect the presence of del(5q). However, when JAK2V617F mutation or chromosomal abnormalities other than del(5q) are present, peripheral blood findings and bone marrow morphology are different from those typical of MDS del(5q), and the diagnosis is not always definite. Appropriate diagnosis by cytogenetic and molecular biological testing in laboratories will become increasingly necessary.
低芽球比率と5番染色体長腕欠失を伴う骨髄異形成腫瘍(Myelodysplastic neoplasm with low blasts and 5q deletion; MDS del(5q) 以後,MDS del(5q)と記載)は,古くから5q-症候群と呼ばれ,レナリドミドが特異的に奏功することからも注目されている病型である。5番染色体長腕に存在する腫瘍抑制遺伝子の欠損により生じる大球性貧血があり,血小板数は正常かむしろ増加傾向である。これにはその近傍に存在する遺伝子のハプロ不全が関与するとされる1)~3)。
一方,JAK2V617F変異は,サイトカインを介した種々のシグナル伝達に重要な役割を果たす蛋白であるJAK2を恒常的に活性化することで,造血前駆細胞の自律性増殖と腫瘍化を起こす。JAK2V617F変異は真性赤血球増加症(polycythemia vera; PV)の約95%以上の症例にみられ,原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis; PMF)や本態性血小板血症(essential thrombocythemia; ET)でも40–60%の症例に認められる4)。
これまでにdel(5q)に加えてJAK2V617F変異を有する症例が少数例報告されているが,その詳細はいまだ明らかではない5)~10)。当院では,当院の定めた検査値の基準範囲の上限を超えた場合を血球増加の基準とし,JAK2V617F遺伝子検査を行っている。今回,del(5q)およびJAK2V617F変異を認めた2例を経験したので,その臨床像について報告する。なお,診断名はWHO分類第5版を使用する。
JAK2V617F変異の検出には遺伝子解析装置i-densyTM IS-5320(アークレイ株式会社)を用いた11),12)。結果については,MEQNETiDia(アークレイ株式会社)を用いて曲線を解析した。
患者:60歳代,女性。
主訴:血球数の増加。
生活歴:飲酒・喫煙歴なし。
既往歴:高血圧,卵巣腫瘍。
現病歴:前医で血小板増多,赤血球増多を指摘され,当院に紹介された。20XX年11月に当科を受診し,骨髄穿刺が施行された。
末梢血検査所見(Table 1):白血球数9.9 × 109/L,Hb 17.7 g/dL,血小板数826 × 109/Lと3系統の増加を認めた。末梢血液像では幼若顆粒球の出現および好塩基球の増加があった。凝固検査では異常所見はみられず,生化学検査ではLDは220 U/Lと基準値内で尿酸値が軽度上昇している他,異常所見は認めなかった。エリスロポエチン濃度は < 0.6 mIU/mLと低下していた。
血液検査 | 生化学検査 | 凝固検査 | |||
---|---|---|---|---|---|
WBC | 9.9 × 109/L | TP | 6.9 g/dL | PT | 11.9 sec |
Blast | 0.0% | Alb | 3.8 g/dL | PT% | 92.70% |
Pro | 0.0% | A/G | 1.23 | PT比 | 1.03 |
Myelo | 1.5% | T-Bil | 0.9 mg/dL | PT(INR) | 1.04 |
Meta | 0.0% | AST | 18 U/L | APTT時間 | 33.4 sec |
Stab | 3.0% | ALT | 17 U/L | FIBLI | 222 mg/dL |
Seg | 74.0% | LD | 220 U/L | DD | < 0.3 μg/mL |
Eo | 3.5% | γ-GTP | 15 U/L | ||
Baso | 4.0% | UN | 15.9 mg/dL | ||
Mono | 1.5% | Cr | 0.67 mg/dL | ||
Lymph | 12.5% | UA | 7.4 mg/dL | ||
RBC | 8.39 × 1012/L | Na | 141 mmol/L | ||
Hb | 17.7 g/dL | K | 4.5 mmol/L | ||
Ht | 59.60% | Cl | 104 mmol/L | ||
MCV | 71.0 fL | Ca | 9.5 mg/dL | ||
MCH | 21.1 pg | CRP | 0.02 mg/dL | ||
MCHC | 29.7 g/dL | Erythropoietin | < 0.6 mIU/mL | ||
PLT | 826 × 109/L |
腹部超音波検査:脾腫なし。
骨髄検査所見(Table 2):全有核細胞数16.5 × 104/μL,巨核球数125/μL,M/E比1.4,骨髄は過形成像を示した。巨核球系細胞の分布は増加し,小型で低分葉核を有する巨核球が21%であった(Figure 1)。顆粒系細胞および赤芽球系細胞の分布はともに増加していたが,明らかな形態異常は認めなかった。Blastは1.6%で,好塩基球や好酸球の増加はなかった。
NCC | 16.5 × 104/μL |
巨核球数 | 125/μL |
M/E | 1.4 |
Neutrophilic series | |
Myeloblasts | 1.6% |
Promyelocytes | 1.8% |
Myelocytes | 15.2% |
Metamyelocytes | 4.8% |
Band | 10.2% |
Segmented | 16.8% |
Eosinophilic | 1.2% |
Basophilic | 0.6% |
Erythrocytic series | |
Pronormoblasts | 0.2% |
Basophilic | 0.6% |
Polychromatophilic | 35.6% |
Orthochromatic | 0.2% |
Monocytes | 0.4% |
Lymphocytes | 10.6% |
Plasma cells | 0.4% |
A(×100):骨髄は過形成像を呈していた。
B(×200):小型で低分葉核を有する巨核球が増加していた。
C(×400):顆粒球系,赤芽球系ともに明らかな形態異常は認められなかった。
染色体検査(Figure 2A):G分染法では46,XX,del(5)(q?)[19]/46,XX[1]の染色体異常を認めた。
A:5番染色体長腕の欠失を認めた。
B:JAK2V617F遺伝子変異あり(ホモ型)を示した。
遺伝子検査:FISH法で好中球のBCR::ABL1融合シグナルは0.0%であった。また,JAK2V617F変異は陽性で,allele burden値は64%であった(Figure 2B)。
病理組織診断検査:血球3系統の細胞が増加しており,巨核球系の形態は小型で低分葉核を有する巨核球が目立った。また,明らかな線維化は認めなかった。
貧血はないことから,MDS del(5q)ではなく,del(5q)およびJAK2V617変異を認めたMDS/MPN,not otherwise specified(NOS)と診断された。
処置および経過:20XX年12月よりヒドロキシカルバミド500 mg/日による治療が開始された。その1週間後よりヒドロキシカルバミド1,000 mg/日に増量および瀉血200 mLを行い,20XX + 1年1月よりアスピリン100 mg/日が開始された。20XX + 1年2月よりヒドロキシカルバミド1,000 mgと500 mgを交互に内服するよう変更し,20XX + 1年4月よりHb低下に伴いヒドロキシカルバミド500 mgに減量した。20XX + 3年7月現在もヒドロキシカルバミド500 mgおよびアスピリン100 mg内服の治療を継続しており,3か月に1度の定期診察を行っている。
2. 症例2患者:70歳代,男性。
主訴:大球性貧血。
既往歴:陳旧性心筋梗塞,大動脈閉鎖不全症。
現病歴:陳旧性心筋梗塞,大動脈閉鎖不全症があり前医通院中であった。20XX年11月の血液検査で大球性貧血と軽度の血小板増多を認め,20XX年12月末に当院を受診した。20XX + 1年2月に骨髄穿刺が施行された。
末梢血検査所見(Table 3):白血球数3.4 × 109/L,Hb 9.5 g/dL,MCV 120.7 fL,血小板数397 × 109/Lと大球性貧血と軽度の血小板増多を認めた。生化学検査ではLDは254 U/Lと軽度上昇していた。
血液検査 | 生化学検査 | ||
---|---|---|---|
WBC | 3.4 × 109/L | TP | 7.1 g/dL |
Blast | 0.0% | Alb | 4.0 g/dL |
Pro | 0.0% | A/G | 1.29 |
Myelo | 0.0% | T-Bil | 0.6 mg/dL |
Meta | 0.0% | AST | 20 U/L |
Stab | 0.0% | ALT | 18 U/L |
Seg | 48.0% | LD | 254 U/L |
Eo | 1.0% | UN | 11.7 mg/dL |
Baso | 1.0% | Cr | 0.83 mg/dL |
Mono | 8.0% | UA | 5.8 mg/dL |
Lymph | 42.0% | Na | 139 mmol/L |
RBC | 2.46 × 1012/L | K | 4.9 mmol/L |
Hb | 9.5 g/dL | Cl | 106 mmol/L |
Ht | 29.70% | Ca | 8.8 mg/dL |
MCV | 120.7 fL | CRP | 0.04 mg/dL |
MCH | 38.6 pg | ||
MCHC | 32.0 g/dL | ||
PLT | 397 × 109/L |
骨髄検査所見(Table 4):全有核細胞数23.0 × 104/μL,巨核球数200/μL,M/E比3.5,骨髄は正形成像を示した。巨核球系細胞の分布は軽度増加し,小型で低分葉核を有する巨核球が増加していた(Figure 3)。顆粒系細胞および赤芽球系細胞の分布はともに増加し,少数の好中球に偽Pelger核異常の異形成を認めた。Blastは0.8%であった。
NCC | 23.4 × 104/μL |
巨核球数 | 200/μL |
M/E | 3.5 |
Neutrophilic series | |
Myeloblasts | 0.8% |
Promyelocytes | 0.6% |
Myelocytes | 32.2% |
Metamyelocytes | 6.6% |
Band | 11.0% |
Segmented | 12.4% |
Eosinophilic | 1.6% |
Basophilic | 0.0% |
Erythrocytic series | |
Pronormoblasts | 1.4% |
Basophilic | 0.2% |
Polychromatophilic | 14.6% |
Orthochromatic | 2.6% |
Monocytes | 1.4% |
Lymphocytes | 13.6% |
Plasma cells | 1.0% |
A(×100):骨髄は正形成像を呈し,巨核球系の分布が増加していた。
B(×1,000):小型で低分葉核を有する巨核球が増加していた。
C(×400):顆粒球系で少数の好中球に偽Pelger核異常を認め,赤芽球系では明らかな形態異常は認められなかった。
染色体検査(Figure 4A):G分染法では46,XY,del(5)(q?),del(20)(q?)[5]/46,idem,del(13)(q12q14)[1]/45,X,-Y[4]/46,XY[10]の染色体異常を認めた。
遺伝子検査:JAK2V617F変異は陽性で,allele burden値は6%であった(Figure 4B)。
A:5番染色体長腕および20番染色体長腕,13番染色体の欠失を認めた。
B:JAK2V617F遺伝子変異あり(ヘテロ型)を示した。
以上のことから,JAK2V617F変異も陽性であったが,血小板数は450 × 109/Lに満たないことから,診断はMDS/MPNではなくJAK2V617F変異を伴う低芽球比率骨髄異形成腫瘍(MDS with low blasts and single lineage dysplasia; MDS-LB-SLD)とした。
処置および経過:20XX + 1年7月に治療介入のため,再度骨髄検査が施行され,また同日に赤血球2単位の輸血が行われた。
症例1は末梢血検査所見において多血と血小板増多を認め,JAK2V617F変異陽性であったことからPVやETなどのMPNが考えられた。その一方で,骨髄検査所見において小型で低分葉核を有する巨核球が全体の21%と増加していたことからdel(5q)の存在が推測された。本症例のようにdel(5q)単独の核型異常に加えJAK2V617F変異を有し,血小板増加と骨髄過形成を呈する例はMDS del(5q)全体の一部で報告されているが,JAK2V617Fの有無で臨床像や経過,予後に違いがあるのかはいまだ不明のままである13)。したがって,最新のWHO分類でもMDS/MPN-NOSには含めず,MDS del(5q)に分類することが推奨されている14)。しかし,症例1では貧血を認めず,むしろ多血であったことがMDSの診断基準と一致しなかった。Sangiorgioら15)は,単施設47例のMDS del(5q)中6例(12.7%)にJAK2V617F変異を認めたと報告した。このうち,半数の3例ではいずれの血球減少も認めず,MDS del(5q)の診断基準に合致しないことを示し,そうした症例はMDS del(5q)ではなくMDS/MPN,unclassifiable(現在のMDS/MPN-NOS)とする方がより適切かもしれないと述べている15)。形態的な面では,JAK2V617F変異陽性例では,MDS del(5q)に特徴的な小型で低分葉の巨核球とETでみられるような大型で過分葉核を持つ巨核球がともにみられる15)とも記しているが,今回の症例1では大型で過分葉核を有する巨核球は目立たなかった。最終的に,症例1では臨床診断としてMDS/MPN-NOSと結論づけた。
症例2は大球性貧血を認め,血小板は当院の定めている基準値である158~348 × 109/Lをやや超えており,かつ巨核球は小型で低分葉核を有するものが目立つというMDS del(5q)を想起させる所見であった。しかし,他にも骨髄の好中球に異形成が目立ち,染色体検査においてdel(5q)に加えdel(20q),del(13)を認めたことからMDSと考えた。JAK2V617F変異も陽性であったが,血小板数は450 × 109/Lに満たないことから,診断はMDS/MPNではなくMDS-LB-SLDとした。Melissaら16)は,MDS 107例の検討で,JAK2変異が3例(2.8%)に存在し,そのうちJAK2V617F変異は1例でMDS症例全体のわずか1%未満であったと報告した。また,同種造血幹細胞移植を受けていないMDS患者132人を対象とした研究においては,JAK2変異を有するMDSは急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia; AML)への進行率は低く,一方で,生存率は高く良好な予後に関連していたと報告されている17)。
2症例ともJAK2V617F変異陽性であるが,PVやETでみられる大型で過分葉核を有する巨核球は認めず,観察された巨核球は小型で低分葉核を有するものがほとんどであった。ともにdel(5q)とJAK2V617F変異という共通する染色体異常や遺伝子変異を有していたにも関わらず末梢血データや骨髄像が大きく異なるのは,他の付加的染色体異常の有無やJAK2V617F変異のallele burden値の影響が大きいのではないかと推測する。PVにおいてはJAK2V617F変異のallele burden値が50%を超える症例において50%未満の症例よりも白血球数やHCT値が有意に高いと報告されており18),MDS/MPNではあるが本例でも同様のことがいえる。メタアナリシスにおいても,PVにおけるJAK2V617F allele burdenと白血球数・赤血球数の有意な正の相関が示されている19)。しかしながら,前述したとおり大型で過分葉核を有する巨核球は認めず,多くは低分葉核を有する巨核球であり,骨髄の巨核球形態においてはdel(5q)の影響が大きかったと考える。また,症例2で貧血を認めたのはdel(5q)に加えてdel(20q),del(13)を有していたことが要因で,それらが好中球の偽Pelger核異常にも関与しMDS様の骨髄像を示したと考える20)。血小板の減少が生じなかったのはdel(5q)に加えてJAK2V617F変異を有していたためと考えた。
今回経験した2例から言えることは,del(5q)が存在する場合には,その他に遺伝子変異が生じた際にも特徴的な巨核球形態を示し,巨核球の形態からdel(5q)があるのではとの予測が可能ではないかということである。しかしながら,del(5q)以外にも染色体異常が存在する場合やJAK2V617F allele burdenの違いから,末梢血データや骨髄像が異なってくる。症例1においては貧血があった場合に診断が異なる可能性があり,今回MDSの診断基準に合致しなかったことが症例を深く考えるきっかけとなった。また,症例2においても,血小板数が450 × 109/L以上であれば,MDS/MPN-NOSに診断が変わっていた。当院ではJAK2遺伝子変異を含む主要なMPN関連遺伝子変異検索は院内で行っており,1系統以上の血球増加があった場合に実施されることが多い。今回,症例2においては血小板増多が軽度であったのにも関わらず実施したことがJAK2V617F変異の検出につながった。したがって,骨髄像を観察する際には,末梢血液の検査データを念頭に置きつつ,鏡検を進めていく必要性を改めて実感した。症例1のように末梢血の血球増加に加え骨髄の異形成を認める際には,MDS/MPNの可能性を考慮する必要がある。また,症例2のように血球数の増加が軽度であってもMDS/MPNの可能性を考慮し,JAK2V617FなどのMPN遺伝子変異検索まで実施する姿勢がより正しい診断につながることを学んだ。del(5q)およびJAK2V617F変異を認めた症例に関する臨床像や最適な治療法,その長期的な経過,予後に関する報告はいまだ少ないため,引き続き症例を集積していくことが今後の課題である。
5番染色体長腕欠失とJAK2V617F変異を認め,異なる臨床像を呈した2例を提示した。この2例を通して,形態学的評価に染色体検査や遺伝子検査を組み合わせた多方面からの総合的なアプローチがやはり正確な診断に重要であると再認識できた。
本論文に関連し,開示すべきCOI 状態にある企業等はありません。