2025 年 74 巻 4 号 p. 784-785
ご指摘いただいた通り,機器的死腔量および解剖学的死腔量を考慮するとWV 300 mLまで減少させることが問題のある可能性が高いことは承知しております。解剖学的死腔量には個人差があるため,論文中にはWV 300 mLに減量した場合にはSVに死腔量が含まれてしまう可能性について記載しており,あくまで参考値として報告できる可能性が高いとの結論に留めています。
指摘事項1-①については,我々も標準法での測定値よりWV 500 mL・SV 500 mLでの測定値が高値を示したことに対して疑問に感じております。その原因として,WVもしくはSVの減量による影響,連続測定による影響,さらにその両者の影響を考えます。今後,検討を行うのであれば測定順序,WVおよびSVの設定量等を再考する必要があると考え,慎重に検討させていただきます。
指摘事項1-②については,論文中にも記載していますが,肺容積・死腔量に個人差があることは承知の上での結果となっています。肺容積・死腔量の個人差による影響を小さくするため,対象者の数を増やす余地があるかもしれません。また,本検討は健常人のみを対象としており,呼吸器疾患のある患者に対するガス分布や拡散能がどの程度影響を及ぼすかは把握できておりません。
今回の検討では健常人を対象にしています。ご指摘の通り,各個人の肺機能により繰り返し測定の影響の度合いは異なるとは思いますが,今回の検討ではあくまでも健常人のみを対象とした基礎検討としています。
検査回数による影響を記した文献を模索しつつ,可能であれば他施設での検討も考慮いただけますと幸いです。
呼吸機能検査ハンドブックより,SVを1,000 mLから500 mLに減量した場合でも参考値として報告可能とされています。そのため,WVを極端に減量した場合を除き,SV 500 mLでの測定が測定値に大きな影響を及ぼすとは考えにくいと思っています。また,使用機器メーカーであるチェスト株式会社より呼吸機能ハンドブックに則り,SV 500 mLでの測定は参考値として報告可能であるとの返答をいただいており,今回の検討での使用機器においてはSVの設定変更に問題はないと考えています。
ご指摘の通り,連続測定によるCO-Hbの蓄積や排出に伴う影響を考慮する必要はあると考えます。今回,標準法と減量法の比較において測定条件を変更する際に,全ての対象者を同じ順番(①WV 750 mL・SV 1,000 mL,②WV 500 mL・SV 500 mL,③WV 400 mL・SV 500 mL,④WV 300 mL・SV 500 mL,⑤WV 200 mL・SV 500 mL,⑥WV 100 mL・SV 500 mL)で実施しましたが,対象者毎に測定順をランダム化する等の工夫ができたのではと反省しています。また,測定回数が少なくなるような検討方法を考慮する必要があると考えます。
最後に投稿者や読者の皆様にお願いですが,今回の検討は健常人を対象とした基礎検討であり,更なる追加検討や呼吸器疾患のある患者を対象とした検討等は必要かと思います。他施設での検討も考慮していただき,論文投稿をしていただければ幸いです。
追加データの開示については控えさせていただきます。