2026 年 75 巻 4 号 p. 689-702
潜在性左室内狭窄には左室流出路狭窄(潜在性LVOT狭窄)と心室中部狭窄(潜在性MV狭窄)があり,安静時には狭窄は認めず負荷により狭窄が出現し,胸痛やめまい,意識消失症状などの原因となる。本研究は心エコー図検査データを用いて潜在性左室内狭窄の出現に関連する因子を統計学的に検討したので報告する。有意差検定,ROC解析,単変量および多変量解析,クロス集計の結果,潜在性LVOT狭窄は,LVDd,LVDs,安静時LVOT-PSV,LVOT dagger-shaped波形で有意差があり,多変量解析でもLVDdが関連した。LVDd < 37.5 mm,安静時LVOT-PSV ≥ 1.5 m/s,LVOT dagger-shaped波形の出現は潜在性LVOT狭窄の可能性を示唆した。潜在性MV狭窄は,sigmoid septum,IVSd,LVPWd,RWT,LVMI,LVH,LVESV,LVEF,LAVI,A波,Dct,E/e',Valsalva時LVOT-PSV,安静時MV-PSV,MV dagger-shaped波形で有意差があり,多変量解析ではsigmoid septum,LVPWd,LVEDVが関連した。Sigmoid septumの存在,LVPWd ≥ 11.5 mm,安静時MV-PSV ≥ 1.2 m/sは潜在性MV狭窄を示唆した。これらの特徴を認める症例では潜在性左室内狭窄の存在を積極的に評価する必要がある。