医学検査
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第10章 多変量回帰
山西 八郎
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論文ID: 24J1-10

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抄録

重回帰分析は,複数の説明変数;xで目的変数;yを回帰する分析法であり,yの推定値を求めるための予測としての使い方と,yの変動要因となるxを特定するための要因分析としての使い方がある。xの係数(偏回帰係数)は,その変数が1単位変化したときのyの純粋な変化量を表している。重相関係数Rは回帰式から算出される目的変数の推定値と実測値との相関係数であり,赤池の情報量基準とともに回帰モデルの適合度指標となる。ただし,要因分析の場合は,モデルの適合度よりは偏回帰係数の有意性が問題となる。重回帰に対して,ロジスティック回帰分析は,目的変数としては「0/1」でコードされる2値型変数のみをとり,回帰式からは「1」でコードした目的変数(イベント)が生起する確率が算出される。回帰係数からは,その説明変数の変動に対するイベント生起のオッズ比が算出される。また傾向スコア分析における傾向スコアの算出にも利用されている。これらの多変量回帰分析は,単変量回帰での落とし穴となる交絡による目的変数と説明変数間の見かけの関連性を制御することができ,検査法,診断法の性能評価や治療効果の判定,さらに疾患と生活習慣との関係を解析するうえにおいて極めて有用な統計手法である。

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