日本看護管理学会誌
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大学病院に勤務する小児科の新卒看護師の特徴と就職1年後のアサーティブネスとバーンアウトの変化
丸山 昭子鈴木 英子
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2009 年 13 巻 1 号 p. 92-99

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抄録

目的: 大学病院の小児科新卒看護師の特徴と就職1年後のアサーティブネスとバーンアウトの変化を明らかにした。これにより、大学病院の小児科に勤務する新卒看護師に対するサポート体制を構築するための知見を得ることを目的とした。

方法: 対象は日本の20の大学病院に勤務する新卒看護師のうち協力の得られた1,203人とした。 2003年6月をベースラインとし、対象を配属領域で小児科とそれ以外の領域(以下、他領域)で分類し就職1年後に追跡調査を実施した。ベースラインでは、最終学歴、同居者の有無、リアリティショック、診療領域配属希望、転職希望、職務満足(職場、給料、仕事量、超過勤務)、アサーティブネス、バーンアウトについて、就職1年後は看護師自身のケアの満足度、アサーティブネス、バーンアウトについて自記式質問調査を実施した。

結果: 有効回答は923人、このうち小児科の新卒看護師は50人(女性:47人、男性:3人)であった。平均年齢は、小児科23.1歳、他領域22.8歳であり有意差はなかった。

小児科の新卒看護師は、学歴は大卒(p<0.05)、家族との同居者(p<0.01)、診療領域配属が希望通りで満足な者(p<0.01)、就職1年後に満足のいくケアができていると感じている者(p<0.05)が他領域の新卒看護師よりも多かった。ケアの満足度を目的変数とし、有意差のあった項目を説明変数として解析したところ、配属希望において関連が認められた。

ベースラインでは、小児科の新卒看護師は、他領域の看護師よりもアサーティブネスが低く、バーンアウトリスクが高い傾向にあったが、1年後には、ベースラインよりもアサーティブネスが上昇し、他領域の看護師よりもバーンアウトリスクが低くなる傾向が認められた。

結論: 小児科看護師は、就職当初はアサーティブネスが低く、バーンアウトしやすい状況にあったが、希望した病棟で満足していることが就職1年後のケア満足度につながり、それがアサーティブネスの上昇やバーンアウトリスクの減少に寄与したと考えられる。

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© 2009 一般社団法人 日本看護管理学会
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