2009 年 13 巻 2 号 p. 31-40
目的
PFIを導入し経営環境変化を遂げた医療機関において,看護管理者に必要な行動として発揮されたコンピテンシーを明らかにする.
方法
研究期間は,2006年10月~2007年3月とし,対象はPFI を導入している1病院である.また,対象者は,病院長1名,事務局長1名の他,看護部長1名,副看護部長2名,看護師長,3名,看護主任2名の計8名の看護管理者とした.そして,Spencerらが行った行動結果面接法を参考に個別に,半構造化面接を行い,行動事例を抽出した.各行動事例を分析,カテゴリごとに分類し,コンピテンシー・ディクショナリーを作成した.その結果についてグループディスカッションを行い,確証性を検証した.
結果
1)PFI 導入時に必要な各職位に共通の看護管理者のコンピテンシーとして,Spencer らの示した管理者のコンピテンシーと同様の結果が得られた.「柔軟性・状況適応」,「交渉力・説明能力」の2つの要素は,Spencer らのコンピテンシーに含まれるものであるが,PFI 導入には特に重要なコンピテンシーであることが確認された.
2)職位別にみたPFI 導入時に重要なコンピテンシーは,看護部長,副看護部長を含むトップレベルでは,「情報探究」「概念化思考」,ミドルレベルの看護師長では,「達成重視」「分析的思考」「柔軟性・状況適応」,ロワーレベルの主任は,「達成重視」,「人の育成」,「情報探究」,「柔軟性・状況適応」であった.
結論
PFI導入時に特に必要な看護管理者のコンピテンシーとして,Spencer による一般管理者のコンピテンシーと同じ要素が抽出され,特に「柔軟性・状況適応」,「交渉力・説明能力」という2つの要素が重要なコンピテンシーとして明らかにされた.さらに,PFI導入時に重要なコンピテンシーは,トップレベルが「情報探究」「概念化思考」,ミドルレベルが「達成重視」「分析的思考」「柔軟性・状況適応」,そしてロワーレベルでは「達成重視」,「人の育成」,「情報探究」,「柔軟性・状況適応」であることが示唆された.この結果を参考に,今後PFI導入を予定している病院で,重要なコンピテンシーを備える人材の選出や,経営環境変化に対応できる看護管理者の人材の育成に役立てることができると考える.