日本看護管理学会誌
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原著
看護職の仕事と生活の調和に関する研究
─「看護職の仕事と生活の調和 実現度尺度」の開発─
村上 眞須美
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 18 巻 1 号 p. 5-16

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抄録

【目的】本研究では,看護職における仕事と生活の調和の状態を測定する尺度を開発することを目的とし,その信頼性,妥当性を検証する.

【方法】男女共同参画会議「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)に関する専門調査会」で作成した「仕事と生活の調和」実現度指標の個人の側面5分野の枠組みを基盤に,先行研究で明かになっている事柄を参考に質問紙の原案を作成した.エキスパートによる内容と項目の検討,プレテスト,予備調査を実施し質問項目の精錬を行った.本調査は,看護職600名を対象に調査を行った.尺度の信頼性は,Cronbachのα係数を算出し,構成概念妥当性の検証のために因子分析を行い,併存妥当性は,安達(1998)の開発した「職場環境,職務内容,給与に関する満足度測定尺度」との相関係数を算出した.

【結果】本調査の有効回答数は218(36.3%)であった.因子分析は主因子法,プロマックス回転で行い,質問項目の取捨選択の基準は,共通性が0.2以下,因子負荷量が0.4未満,当該因子以外の因子負荷量が0.4以上とした.その結果,「時間の調整」「仕事のやりがい・職場の支援」「仕事以外の過ごし方」「家庭での過ごし方・家族の支援」「仕事とプライベートの切り替え」の5つの因子からなる,計28項目の尺度を開発した.各因子のCronbachのα係数は,0.65~0.902で,併存妥当性は「職場環境,職務内容,給与に関する満足度測定尺度」とのPearsonの積率相関係数を算出し,r =0.633,p <0.01と比較的強い相関が認められた.

【結論】開発した尺度は,5因子28項目から構成され,信頼性,信妥当性が確認された.

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© 2014 一般社団法人 日本看護管理学会
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