日本看護管理学会誌
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原著
小児病棟の中堅看護師が仕事を続けてきた原動力
内藤 茂幸吉田 澄恵佐藤 紀子
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2014 年 18 巻 2 号 p. 103-113

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抄録

本研究の目的は,小児病棟の中堅看護師が仕事を続けてきた原動力を明らかにすることである.東京近郊の特定機能病院2施設の小児病棟,および小児の専門病院1施設に勤務する中堅看護師で,今後も勤務継続を希望している者7名に対し,半構成面接を実施した.分析には修正版グラウンデット・セオリー・アプローチを用いた.

その結果,小児病棟の中堅看護師が仕事を続けてきた原動力は34の概念と11のサブカテゴリを経て【病と共にあり未来に向かう子どもという存在】【[子ども][家族][子どもと家族の相互作用]に関わるからこそ得られるやりがい】【創ってきた居場所で現実と可能性を見据えて歩いている実感】という3つのカテゴリとして生成された.各原動力には,『病と共にある』子どもという存在に対する肯定的な感情や成長を実感する喜び,小児看護実践において困難な部分ではあるが,同時に核となる部分へ立ち向かい乗り越えた時にこそ得られるやりがい,そして,小児看護という枠組みにとらわれることなく広い視点を持ち,組織内で自律することによって得られる居場所ということが大きく関連していた.3つの原動力はそれぞれが独立しているのではなく,連続かつ流動性をもって相互に補完し合いながら作用しており,その様子は3つの羽根が回転することで推進力を得るプロペラとして表現できると考えられた.

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© 2014 一般社団法人 日本看護管理学会
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