日本看護管理学会誌
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原著
潜在看護師が復職後に復職をした自分になじむまでの過程
榊 茜深堀 浩樹
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 18 巻 2 号 p. 114-124

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抄録

看護職員確保対策のひとつに潜在看護師の就労促進があるが,復職後の支援に関する報告は少ない.本研究はグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて潜在看護師の復職後の経験を概念化し,復職後の定着を促進するための支援検討を目的とした.結婚・出産を機に前職を退職し,ブランクを経て病院に復職した女性看護師11名に半構成的面接を行い分析した結果,次のような復職後の過程が明らかになった.復職した看護師は,環境の変化の実感や家庭と仕事の間での葛藤などブランクを経た復職に伴う動揺に直面し,その動揺を軽減し日々の仕事を行うために,個人的な取り組みと周囲を巻き込む努力を含むブランクを補う取り組みを行っていた.この時に取り組みを後押しする心境に至ること,職場からの支援を受けることで取り組みが促進され,状況改善の感触を得ることができていた.その結果,今の自分ができる仕事を割り切ることができるなど復職をした自分になじむことができていた.復職した潜在看護師の定着支援のために受け入れる職場に求められることとして,当人と相談しながら役割を定め段階を踏んで発展させるなど適切な役割期待や,人生経験を重ねた強みを認め本人に伝えることなどが示唆された.また,復職する看護師自身にできる工夫として,環境の変化に圧倒されず前向きに捉える,積極的に周囲を巻き込み疑問を解決する,などが考えられた.

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© 2014 一般社団法人 日本看護管理学会
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