日本看護管理学会誌
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定年退職前看護職の職業経験の質と 問題解決に関する研究
寺尾 奈歩子 乗松 貞子中村 慶子
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2017 年 21 巻 1 号 p. 30-39

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抄録

病院に勤務する定年退職前の女性看護職(以下,定年前看護職)の職業経験の質と問題解決を調査し,定年前看護職の特徴を明らかにすることを目的とした.A県の病院に勤務する55~60歳の定年前看護職229名と30~40歳の中堅看護職401名を調査した.調査内容は属性と定年退職後(以下,定年後)の再就業意思,「職業経験評価尺度―臨床看護師用―」,「問題解決調査項目(PSI)日本語版」である.記述統計後,職業経験評価得点とPSI得点を定年前看護職と中堅看護職の間で比較後,定年前看護職の職業経験評価得点とPSI得点を属性別に分析した.

結果,職業経験評価は定年前看護職が中堅看護職より有意に高く,特に仕事と生活のバランスを調整する経験,看護職としての価値基準を確立する経験,人間関係を調整する経験の質が高いことが示された.定年前看護職の属性別では,職位が高く定年後の就業意思を持つ正規雇用希望者が有意に高かった.問題解決調査は,定年前看護職と中堅看護職の問題解決行動の質は同程度であることが考えられ,特に定年前看護職の問題解決への自信が高いことが明らかになった.属性別では,職位が高い正規雇用希望者が有意に高かった.これらから,定年後も就業意欲のある看護職の特徴を活かすためには,個々の看護職の経験や知識を活かした配置を考慮すること,マネジメント力を活かした活躍の場を提供することが示唆された.

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© 2017 一般社団法人 日本看護管理学会
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