日本看護管理学会誌
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原著
大規模災害時における被災地外救援者のストレス認知,ストレス対処および組織的支援の特徴と精神的健康度との関連
平野 美樹子
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2018 年 22 巻 1 号 p. 30-41

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抄録

【目的】本研究の目的は,災害時救援に携わった被災地外からの救援者を対象とし,派遣時の個人のストレス認知,ストレス対処および組織的支援の特徴と精神的健康度との関連を明らかにすることである.

【方法】東日本大震災への派遣経験のある看護職804人を対象に,質問紙調査を実施した.質問紙は,ストレスフルイベント項目,セルフケア項目,コーピング尺度,組織的ストレス緩和策尺度,GHQ-12にて構成した.分析には,因子分析,t検定,重回帰分析を用いた.

【結果】質問票の回収数は402通,回収率50.0%(有効回答率100%).高ストレスフルイベントは,高い順に,「何もしてあげられない無力感」,「災害による大きな被害を目にしたこと」,「悲惨な怪我等を目にしたこと」などであった.効果の高いセルフケア項目は順に,「瞑想」,「誘導イメージ法」,「チームメンバーと話すこと」,「家族の写真をみること」,「ユーモアを用いること」などであった.重回帰分析の結果,全体では,高ストレスフルイベント(β=.435,p<.000),〈チーム内における相互支援〉(β=-.148,p<.01),〈派遣終了後の支援〉(β=-.110,p<.05)が精神的健康度に影響していた.

【結論】被災地外救援者の精神健康度には,高ストレスフルイベント数,組織的支援策が関連していた.被災地外救援者の精神的健康を保持するためには,派遣におけるすべての過程を通した効果的な組織的支援が重要である.

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© 2018 一般社団法人 日本看護管理学会
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