2019 年 23 巻 1 号 p. 1-10
本研究は,退院支援における病棟看護師のチームアプローチの実態を明らかにし,個々が行うチームアプローチが退院支援の実践力にどのように影響しているか,および,退院支援実践力向上に影響を与える要因を検討することを目的として,A県内6施設,22の病棟に勤務する看護師463名を対象に自記式質問紙による調査を行った.調査内容は,病棟看護師の退院支援実践力自己評価尺度(以下DPWN),独自に作成したチームアプローチ質問紙,個人の属性と経験および病棟概要の4点であり, 回収率65.4%,分析対象として有効回答263(有効回答率56.8%)部を用いた.対象者の平均年齢は34.5歳(±10.1),20代が38.1%,30代が28.7%であった.病棟看護師のチームアプローチの実態として,【専門職としての自覚と行動】【チーム医療の意義の認識】【良好な人間関係を保つ努力】【他職種との関わりの困難感】の4因子を抽出し,退院支援実践力に影響を与える要因として,【専門職としての自覚と行動】(β=0.528),「クリニカルパスの導入」(β=0.169),「退院支援に関する学習経験」(β=0.127),「電子カルテの導入」(β=0.113)が示された.退院支援実践力の向上には,個々の看護師の【専門職としての自覚と行動】を高めることが重要であり,クリニカルパスや電子カルテなどのシステムの活用や学習機会の提供が有用であることが示唆された.