2019 年 23 巻 1 号 p. 40-49
我が国において中規模病院の看護師長は,少数であるうえ,多様な教育背景や経験を持つスタッフを統括する困難に直面しているが(樫原,長谷川,2011),自施設外研修に参加することが困難である.米国においては,中間看護リーダーによるサーバントリーダーシップがスタッフ看護職員の成長を促し,職務満足度を向上させることが認められている(McCann et al., 2014; Neill & Saunders, 2008).本研究では,中規模病院の看護師長を対象に,業務に支障の少ない時間の集合研修と自己学修を促進するためのクラウド環境を組み合わせたサーバントリーダーシップを獲得するための支援モデルの開発とその評価を目的とした.支援モデルの試行は,看護部長から理解を得た4施設の看護師長,研究に協力の同意が得られた47名によって行った.支援モデル参加後の質問紙調査への回答があったのは45名(回収率95.7%)であった.参加者の自己評価によるサーバントリーダーシップスキル得点は,支援モデル参加前の190.9(±19.9)点から197.0(±22.3)点と有意(p<0.05)に上昇した.クラウド環境を活用する実施方法については「参加が容易であった」「自分の時間で学習できた」との意見が多数得られ,これらのことから支援モデルの有効性を確認した.