日本看護管理学会誌
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新人看護師教育における看護師長の役割行動:構成概念の検討(予備的研究)
大森 美由紀寺岡 幸子伊東 美佐江
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2020 年 24 巻 1 号 p. 113-122

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抄録

本研究の目的は,新人看護師教育における看護師長の役割行動を明らかにするための質問紙を作成し,その信頼性,妥当性を検討することである.先行研究で明らかになっている新人看護師教育において看護師長が果たす役割行動から37項目の質問項目を作成した.中四国地方の500床以上の大学病院または総合病院に勤務し新人看護師を受け入れている看護師長を対象に自記式無記名質問紙調査を行い,107名を分析対象とした.因子分析(主因子法・プロマックス回転)を行い,得られた因子構造と設定した構成概念を比較し,因子的妥当性を検討した.新人看護師教育で看護師長が果たす役割行動は,「教育体制整備」,「メンタルヘルス支援」,「成長支援」,「自信獲得支援」,「職場環境の醸成」,「指導者人選」の6因子23項目で構成され(累積寄与率57.5%),尺度全体のCronbach’sα係数は 0.84,各因子で0.79~0.84で,内的一貫性が確認された.プリセプターシップにおける看護師長の役割行動評価尺度の各因子と有意な正の相関であった(r=0.26~0.67,p<0.001)が,「指導者人選」で3因子(r=0.13~0.16)に認めなかった.設定した構成概念は,本尺度の各因子とおおむね一致したが,構成概念妥当性についてさらなる検討が必要とされた.

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© 2020 一般社団法人 日本看護管理学会
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