目的:初めて外来で化学療法を受けるがん患者に対する看護師のアセスメント実施状況(アセスメント実施)およびアセスメントの重要性認識の程度(アセスメントの重要性認識)を明らかにすること,心理面・社会面のアセスメント実施に関連する職場環境要因を検証することを目的とした.
方法:無作為抽出した首都圏の500病院の外来化学療法を行う部署の看護師を対象に質問紙調査を行い,アセスメント実施,アセスメントの重要性認識,職場環境を尋ねた.アセスメント実施とアセスメントの重要性認識について,それぞれ身体面・心理面・社会面で比較した.次に,心理面・社会面のアセスメント実施を従属変数とした階層的重回帰分析を行った.
結果:2500通の質問紙を郵送し,120病院317名から有効回答を得た.アセスメント実施は身体面より心理面・社会面が有意に低く,アセスメントの重要性認識は身体面・心理面・社会面のいずれも高かった.階層的重回帰分析の最終段階で心理面・社会面の両方のアセスメントの実施に対して有意な正の関連を示したのは,「アセスメントの重要性認識」「患者と話す時間の設定」であった.社会面のアセスメント実施には「マニュアル」「勉強会」「化学療法専任」も有意な正の関連を示したが,職場環境変数を投入後,「独立した化学療法室」「外来化学療法看護の経験年数」は有意ではなくなったり関連が弱まったりした.
結論:心理面・社会面のアセスメント実施は身体面より低かった.アセスメントの実施は重要性の認識や職場環境の一部と関連があった.