日本作物学会紀事
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エネルギー作物エリアンサスの穂の発育形態学
金井 一成谷津 威徳森田 茂紀
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2019 年 88 巻 4 号 p. 273-279

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抄録

石油枯渇や地球温暖化の対応策として,バイオマス作物の利用が注目されており,著者らは,食糧生産との競合を避けるためにセルロース系エネルギー作物のエリアンサス(Saccharum spp.)に着目している.エリアンサスは日本で栽培すると毎年,秋に出穂するが,その穂の形態と幼穂形成については明らかでない.エリアンサスの物質生産の基礎となる分げつの生育を理解し,群落構造との関係を考察するための基礎知見を得るため,本研究では穂の構造および幼穂形成過程を検討した.エリアンサスの穂は複総状花序で,穂全体の外観からは円錐花序にも分類される.穂長は50 cm 程度で,穂軸からは4 本前後の1 次枝梗が一定の間隔をおいてまとまって分枝するが,この間隔は向頂的に狭くなる.また,1 次枝梗からは2 次枝梗が,さらに2 次枝梗からは3 次枝梗が,それぞれ互生で分枝する.穂軸および各次元の枝梗の先端と,穂軸および各次元の枝梗の上に小穂が着生する.小穂には有柄小穂と無柄小穂とがあり,通常は対をなして着生するが,穂軸および各次元の枝梗の先端には有柄小穂が着生する.有柄小穂および無柄小穂のいずれも1 小穂1 小花であり,その構造は柄の有無を除いて基本的に同じで,1 対の護穎の内側に1つの小花が位置する.小花は外穎と内穎,その内側の2 枚1 組の鱗皮,3 本の雄蕊,1 本の雌蕊(心皮)からなる.幼穂形成過程は, ステージ0の栄養相を除いて,同1:苞原基分化期,同2:1 次枝梗分化期,同3:高次枝梗分化期,同4:小穂分化期,同5:小花分化期に分けられる.以上の穂の基本構造と幼穂形成過程に関する知見は,エリアンサスの生育を理解するために役立つものと考えられる.

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© 2019 日本作物学会
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